【サプリの科学②】カフェインで筋トレ効率UP?量・タイミング・摂り過ぎリスク
カフェインは体重1kgあたり3〜6mgで運動パフォーマンスを高めます。ISSNの見解をもとに、量・タイミング・副作用・睡眠への影響を解説します。
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【サプリの科学シリーズ 第2回/全6回】
前回:クレアチンの効果と飲み方/今回はカフェインを筋トレの観点から解説します。
筋トレ前にコーヒーを1杯。エナジードリンクやプレワークアウトを飲んでからジムへ。
こういう習慣がある人は多いと思います。実はこれ、ただの気分の問題ではなく、カフェインには運動パフォーマンスを高める効果がある事が、多くの研究で確かめられているんです。
ただし、量やタイミングを間違えると、効果が出なかったり、睡眠を邪魔したり、体調を崩したりする原因にもなります。今回は、国際スポーツ栄養学会(ISSN)のポジションスタンドをもとに、カフェインの正しい使い方を整理します。
ISSNの見解:体重1kgあたり3〜6mgで効果あり
ISSNは2021年に、カフェインと運動パフォーマンスに関するポジションスタンドを発表しています。結論部分では、次のように述べられています。
“Caffeine has consistently been shown to improve exercise performance when consumed in doses of 3–6 mg/kg body mass.”
(カフェインは、体重1kgあたり3〜6mgの量を摂取した場合に、運動パフォーマンスを向上させる事が一貫して示されている)
― Guest NS, et al. ISSN position stand: caffeine and exercise performance(2021)
体重別にすると、次のようになります。
| 体重 | 3mg/kg | 6mg/kg |
|---|---|---|
| 50kg | 150mg | 300mg |
| 60kg | 180mg | 360mg |
| 70kg | 210mg | 420mg |
また、同じポジションスタンドでは、もっと少ない量でも効果がある可能性にも触れています。
“Minimal effective doses of caffeine currently remain unclear but they may be as low as 2 mg/kg body mass.”
(カフェインの最小有効量は現時点でははっきりしないが、体重1kgあたり2mg程度まで低い可能性がある)
体重60kgなら120mg程度。まずは少なめの量から試すのが安全です。
筋トレではどんな効果がある?
カフェインは脳や神経に働きかけて、疲労感や「きつい」という感覚を和らげると考えられています。ISSNのポジションスタンドでは、持久系の運動で効果がはっきりしているほか、筋力や筋持久力など筋トレに関わるパフォーマンスにも効果が見られるとまとめられています。
筋トレで言えば、「いつもより1〜2回多く挙がる」「集中してセットに臨める」といったイメージです。クレアチンと同じく、トレーニングの質を少し底上げしてくれる存在ですね。
飲むタイミングは運動の約60分前
ISSNのポジションスタンドによると、研究で最も一般的に使われているタイミングは運動の約60分前です。カフェインは摂取後、だいたいそのくらいで血中濃度が高まる為です。
ただし、ガムなど口の中から吸収されるタイプは、もっと早く効く事も示されています。プレワークアウトやコーヒーなら、ジムに向かう前、トレーニング開始の30〜60分前を目安にすると良いでしょう。
多ければいいわけではない
ここが大事なポイントです。ISSNは、高用量について次のように注意を促しています。
“Very high doses of caffeine (e.g. 9 mg/kg) are associated with a high incidence of side-effects and do not seem to be required to elicit an ergogenic effect.”
(非常に高用量のカフェイン(例:9mg/kg)は副作用の発生率が高く、運動能力を高める効果を得る為に必要とは思われない)
副作用としては、動悸、不安感、手の震え、胃の不快感、不眠などが知られています。「たくさん飲めばもっと挙がる」わけではないので、効果を感じる最小限の量にとどめましょう。
1日の総量にも注意
欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な成人(妊娠中の女性を除く)について、1回200mg・1日400mgまでのカフェイン摂取であれば安全上の懸念は無いとする見解を出しています。
日常的にコーヒーやエナジードリンクを飲んでいる人は、筋トレ前のカフェインを足すと、1日の合計が知らないうちに多くなっている事があります。コーヒーは1杯(150ml程度)で約90mgが目安なので、トレーニング前のプレワークアウトと合わせて計算してみてください。
夜トレの人は睡眠に要注意
仕事終わりの夜にトレーニングする人は特に注意が必要です。カフェインの効果は数時間続く為、夕方以降に摂ると寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする可能性があります。
筋肉の回復にとって睡眠はとても大切です。カフェインで1回のトレーニングの質を上げても、睡眠を削ってしまっては本末転倒なんですよね。
- 夜トレの日はカフェインを控えるか、量を減らす
- カフェインレスのプレワークアウトを使う
- 就寝の数時間前以降はカフェインを摂らない
といった工夫をしましょう。
プレワークアウトのカフェイン量をチェックしよう
市販のプレワークアウトには、1回分で200mg以上のカフェインが入っている商品も珍しくありません。購入前に、1回分のカフェイン量を必ず確認しましょう。最初は表示の半分の量から試すのもオススメです。
このサイトでもいくつかのプレワークアウトをレビューしています。
- 【レビュー】マイプロテインTHE プレワークアウト+を飲んだ感想・効果
- 【レビュー】マイプロテイン THEプレワークアウトをセルコアC4と比較!
- 【プレワークアウトは危険?】パンプ感UP!NOサプリC4の効果を検証します
こんな人はカフェインを控えて
- 妊娠中・授乳中の人
- 心臓の病気や高血圧などで治療中の人
- カフェインで動悸や不安感が出やすい人
当てはまる人は、医師に相談してから使ってください。
よくある質問
Q. 毎日コーヒーを飲んでいると効かなくなる?
A. 普段からカフェインを摂っている人でも、運動前のカフェインで効果が見られたという研究もあり、ISSNのポジションスタンドでもこの点が議論されています。習慣的な摂取量によって効果の感じ方には個人差がある、くらいに考えておきましょう。
Q. 緑茶や紅茶でもいい?
A. カフェインが含まれているので選択肢になります。ただし、コーヒーより含有量が少ない物も多いので、量を確認しましょう。
まとめ
- カフェインは体重1kgあたり3〜6mgで運動パフォーマンスを高める(ISSN, 2021)
- 2mg/kg程度の少量でも効果がある可能性。まずは少なめから
- タイミングは運動の約60分前が一般的
- 9mg/kgのような高用量は副作用が多く不要
- 1日の総量と、夜トレ時の睡眠への影響に注意
というわけで、サプリの科学シリーズ第2回でした。次回は「BCAAとEAAの違い」。人気サプリBCAAの効果について、研究が示す意外な結論を紹介します。
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参考文献
- Guest NS, et al. International society of sports nutrition position stand: caffeine and exercise performance. J Int Soc Sports Nutr. 2021;18:1. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7777221/
- EFSA NDA Panel. Scientific Opinion on the safety of caffeine. EFSA Journal. 2015;13(5):4102.
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。

