【プロテイン基礎知識②】タンパク質は1日何g必要?筋トレ向けの目安と計算方法
タンパク質の1日の必要量を、厚生労働省の食事摂取基準と、筋トレをする人向けのISSNの見解・メタ分析を比べながら、体重別に解説します。
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【プロテイン基礎知識シリーズ 第2回/全7回】
前回:プロテインとは?ホエイ・カゼイン・ソイの違い/今回のテーマは「タンパク質は1日何g必要か」です。
「タンパク質は体重×2g摂れ!」「いやいや、そんなに要らない」
タンパク質の必要量については、本当に色々な意見がありますよね。プロテインを飲むにしても、そもそも1日に何g必要なのかが分からないと、何杯飲めばいいのかも決められません。
今回は、厚生労働省の基準(一般の人向け)と、筋トレをする人向けの研究を比べながら、自分に必要な量の出し方を解説します。
一般の人の目安:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
まずは日本の公的な基準から。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のタンパク質の推奨量が次のように定められています。
| 対象 | 推奨量(1日) |
|---|---|
| 男性(18〜64歳) | 65g |
| 女性(18〜64歳) | 50g |
この数字は、「ほとんどの人が不足しない量」として設定されたものです。あくまで健康を維持する為の量であって、「筋肉を増やす為の量」ではない点に注意しましょう。
筋トレをする人の目安:1日 体重1kgあたり1.4〜2.0g
では、筋トレをしている人はどうでしょうか。
前回も紹介しましたが、国際スポーツ栄養学会(ISSN)は2017年のポジションスタンドで次のように述べています。
“an overall daily protein intake in the range of 1.4–2.0 g protein/kg body weight/day (g/kg/d) is sufficient for most exercising individuals”
(運動をしている人の大半は、1日あたり体重1kgにつき1.4〜2.0gのタンパク質を摂れば十分である)
― Jäger R, et al. ISSN Position Stand: protein and exercise(2017)
体重70kgの男性なら、1日98〜140g。厚労省の推奨量(65g)の1.5〜2倍以上になります。
「1.6g」で頭打ち?メタ分析の結果
もう少し具体的な数字を出した研究もあります。マクマスター大学のMortonらが2018年に発表したメタ分析では、49件の研究をまとめた結果、1日の総タンパク質摂取量が体重1kgあたり約1.62gを超えると、除脂肪量(筋肉など)の上乗せ効果が見られなくなったと報告しています。
一方で、この数字には個人差を含む幅(95%信頼区間:1.03〜2.20g)があり、論文の中では次のようにも述べられています。
“it may be prudent to recommend ~2.2 g protein/kg/d for those seeking to maximise resistance training-induced gains in FFM”
(レジスタンストレーニングによる除脂肪量の増加を最大化したい人には、1日・体重1kgあたり約2.2gを推奨するのが賢明かもしれない)
― Morton RW, et al. Br J Sports Med(2018)
まとめると、
- 多くの人は1.6g/kg前後で十分
- 「取りこぼしたくない」人は2.2g/kgまで
- それ以上増やしても、筋肥大の上乗せは期待しにくい
というのが、現時点での研究の結論です。
自分の必要量を計算してみよう
計算は簡単です。体重(kg)×1.6〜2.0(g)で出してみましょう。
| 体重 | ×1.6g | ×2.0g |
|---|---|---|
| 50kg | 80g | 100g |
| 60kg | 96g | 120g |
| 70kg | 112g | 140g |
| 80kg | 128g | 160g |
体重60kgの人の1日の例(目標約100g)
- 朝:卵2個+納豆1パック+ご飯 → 約20g
- 昼:鶏むね肉のおかず(100g程度)の定食 → 約30g
- 間食:プロテイン1杯 → 約20g
- 夜:魚の切り身+豆腐+ご飯 → 約30g
合計で約100g。食事だけでも頑張れば届きますが、朝食が少ない日や外食が多い日は、プロテインが1杯あるとかなり楽になるんですよね。プロテインはこういう「穴埋め」に使うのが一番効率的です。
※食品のタンパク質量は商品や調理法で変わるので、あくまでざっくりした目安です。
「多ければ多いほどいい」わけではない
ここで注意してほしいのが、タンパク質は摂れば摂るほど筋肉が増えるわけではないという点です。
前述のとおり、2.2g/kgを超えても筋肥大の上乗せはほぼ期待出来ません。しかもタンパク質も1gあたり約4kcalのエネルギーがあるので、プロテインを何杯も飲めばその分カロリーも増えます。
このサイトの過去記事「減量中にタンパク質量を気にし過ぎるべきでない3つの理由」では、タンパク質の数字ばかり追いかけてストレスをためたり、カロリーオーバーになったりするのは本末転倒だと書きました。今回の内容は、その考え方とも一致します。
大事なのは、「目安の範囲(1.6〜2.0g/kg)に、だいたい入っていればOK」くらいの気持ちで続ける事。毎日ピッタリ合わせる必要はありません。
こんな人は注意
- 腎臓の病気がある人、健康診断で腎機能を指摘された人:タンパク質の量について必ず医師に相談してください。
- 高齢の人:食事摂取基準では65歳以上の推奨量も別に設定されています。体重あたりで見ると、むしろ不足しやすい年代です。
安全性については、シリーズ第6回で詳しく扱う予定です。
よくある質問
Q. 体脂肪が多い人も「体重×1.6g」で計算するの?
A. 体脂肪が多い人がそのまま体重で計算すると、必要以上に多い数字になる事があります。その場合は、目標体重で計算すると現実的な数字になります。
Q. 筋トレしない日も同じ量が必要?
A. 筋肉の合成はトレーニング後も長く続くので、休みの日も同じくらいの量を目安にしておくと分かりやすいです。毎日ピッタリ合わせる必要はありません。
Q. 食事だけで足りていればプロテインは要らない?
A. はい、要りません。プロテインはあくまで「足りない分を補う手段」です。
まとめ
- 一般の人の推奨量は男性65g・女性50g(食事摂取基準2025年版、18〜64歳)
- 筋トレする人は1日・体重1kgあたり1.4〜2.0g(ISSN)
- 約1.6g/kgで筋肥大の上乗せが頭打ちになり、最大化を狙うなら約2.2g/kgまで(Morton, 2018)
- 食事で足りない分をプロテインで補うのが効率的
- 多ければ良いわけではない。目安の範囲に入っていればOK
というわけで、プロテイン基礎知識シリーズ第2回でした。次回は「プロテインを飲むタイミング」。よく聞く「ゴールデンタイム」は本当なのかを検証します。
プロテイン基礎知識シリーズ
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参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
- Jäger R, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:20. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5477153/
- Morton RW, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med. 2018;52:376-384. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5867436/
本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。