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減量中の高齢男性、タンパク質とロイシンの上乗せ効果は未確認

減量中の高齢男性61人に4週間、タンパク質やロイシンを足した試験で、体組成や筋力の指標に補給による追加の改善は確認されませんでした。試験の条件と読み方を整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

減量中の高齢男性にタンパク質やロイシンを足しても、4週間では上乗せ効果は確認できず

減量中に筋肉が減るのを避けようと、プロテインやロイシン(アミノ酸の一種)を足す人もいるでしょう。この補い方に上乗せの効果があるのかを調べた小規模なランダム化比較試験が、2026年10月に栄養学誌 Nutrients に掲載されました(Pang らによる、シンガポールの研究)。結論を先に書くと、60歳以上の男性61人を28日間追跡した結果、タンパク質やロイシンを足した群でも、体組成、筋力・機能の指標、心血管代謝の指標に、補給の有無による追加の改善は確認できませんでした。この記事では、PubMedの抄録と、無料公開されている本文にもとづいて、条件と結果を整理します。

隔日断食の28日間に、3つの補給パターンを比べた

論文によると、対象はBMI 23.0 kg/m² 以上、60歳以上の男性で、80人を募集し、61人が最後まで参加しました。28日間にわたって隔日断食(ADF)を行います。隔日断食は、24時間ごとに食べる日と断食の日を交互に置く方法で、断食の日は12〜14時の間に600 kcal以下の食事を1回とってよいという設定でした。体重は減りやすい一方、筋肉も落ちるおそれがあり、サルコペニア(加齢による筋肉量や筋力の低下)のリスクがある高齢者では、その点が課題だと著者らは説明しています。

参加者は、補給品のカロリーをそろえた3つの群に、無作為に分けられました。

  • 対照群:タンパク質0.0 g/kg、ロイシン0.0 g/kg(チョコレート飲料の粉末)
  • ロイシン群:タンパク質0.0 g/kg、ロイシン0.08 g/kg
  • タンパク質群:タンパク質0.4 g/kg、ロイシン0.04 g/kg(ホエイプロテイン)

補給は、食べる日に3回の食事それぞれで1回分、断食の日に1回分という分け方でした。「g/kg」は体重1kgあたりの1回分の量で、たとえば体重70kgなら、タンパク質群は1回あたり28 g、ロイシン群はロイシン5.6 gの計算になります(この換算は筆者によるものです)。補給は、普段の食事に粉末の補給品を上乗せする形で、食事の内容そのものは各自が選びました。体組成は二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)で、サルコペニアの指標はアジアの診断基準(AWGS 2019)にもとづいて、血圧・脂質・糖代謝の血液指標とあわせて測られています。

3群とも体重は減り筋力の指標は上がったが、補給による違いはほぼ見られず

結果を整理すると、次のようになります。

  • 群と時間の交互作用(補給の種類によって変化が違うか)は、体組成、サルコペニア、筋力・機能の指標のほとんどで有意ではありませんでした(p>0.05)。例外は、拡張期血圧(p=0.016)とHDLコレステロール(p=0.013)です。
  • 時間の主効果(試験の前後で全体が変わったか)は有意で、骨密度を除く体組成のすべての指標が減少しました。ここには、脂肪だけでなく、除脂肪量(筋肉などを含む)の指標も含まれます。収縮期血圧、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪も下がり、筋力と機能に関するサルコペニア指標はすべて改善しました。
  • 拡張期血圧は、タンパク質群で5.29 mmHg、ロイシン群で4.30 mmHg下がり、対照群では有意な低下がありませんでした。HDLコレステロールは、タンパク質群だけで0.07 mmol/L低下しました。

つまり、3群とも、隔日断食を行った4週間の前後で、体は軽くなり、筋力や機能の指標は上がりました。一方で、タンパク質やロイシンを足した群が、対照群より良くなったとは言えない、という結果です。断食をしない対照群は置かれていないため、これらの変化が断食そのものによるのかどうかは、この試験からは分かりません。著者らは結論として、ロイシンやタンパク質の摂取を増やす食事面の介入だけでは、この4週間に、体組成、サルコペニア関連、心血管代謝の追加の改善は得られなかったと述べています。

補給より先に確かめたい、試験の条件

ここからは筆者の見方です。この試験は60歳以上の男性が対象で、重い持病や長期の服薬のある人、週2回を超える筋トレをしている人は除かれています。さらに、期間中は新しい運動を始めず、高強度の運動や筋トレを控える条件でした。筋トレを組み合わせた場合や、より長い期間で同じ結果になるかは、この試験からは分かりません。「この条件では、補給の上乗せ効果は検出されなかった」と読むのが妥当だと考えます。

また、3群とも除脂肪量の指標は下がっており、食事の補給だけで筋肉の減少を防ぐのは難しいことがうかがえます。実際の筋トレや減量の場面では、サプリで補う前に、1日の総タンパク質量と総カロリーが目的に合っているかを、先に確認したいところです。目安は、このサイトの記事「タンパク質は1日何g必要?」も参考にしてください。持病のある人や、腎臓の病気などで食事制限を受けている人は、タンパク質の量や断食を取り入れる前に、医師や管理栄養士に相談してください。

出典

2026年10月26日時点の情報です。

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。