時間制限食は筋トレの筋肉を増やす?5試験の分析で上乗せは確認できず
時間制限食(TRF)と筋トレを併用した5試験120人のメタ分析。除脂肪量の差は−0.48kgで有意差なし。バイアスや食事条件のばらつきなど、読むときの注意点を整理します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
たとえば16時間絶食して8時間だけ食べる「時間制限食(TRF)」を、筋トレと組み合わせると筋肉は増えるのか。2026年10月9日にAn Acad Bras Cienc(ブラジル科学アカデミー紀要)に掲載されたシステマティックレビューとメタ分析は、「ふつうの食事より優れているとはいえない」という結論でした。ただし、対象は5件の小規模な試験にとどまり、筋肉が落ちると示したわけでもありません。数字の中身と、読むときの注意点をまとめます。
5試験・120人、除脂肪量の差は0.48kg
このレビューは、MEDLINE、CENTRAL、Embase、Scopusを検索し(初回の検索は2023年4月、同年11月13日に更新検索を行い、新たな該当は見つかりませんでした。それ以降の研究は含まれていません)、健康な18歳以上の成人が、12時間以上の絶食を伴うTRF(または時間制限の食事、TRE)と筋力トレーニングを併用したランダム化比較試験を集めました。除外されたのは、妊娠、高血圧や糖尿病などの慢性疾患、BMIや体脂肪率で診断された肥満、有酸素運動だけの人などです。論文としては6件が採用され、そのうち2件は学会要旨で、Tinsley氏の要旨と論文は同じ試験の報告だったため、実際は5試験、完了した人は120人でした。
試験はポルトガル1件、イタリア1件、米国4件で、参加者は主に男性でした。時間制限食は、4試験が「8時間食べて16時間絶食」、1試験が「4時間食べて20時間絶食」(週4日のみ)でした。比較は、通常の食事のグループです。
主要な評価項目の除脂肪量は、数値が得られた4試験をまとめたメタ分析(学会要旨のHaywardは数値がなく除外)で、時間制限食のほうが−0.48kg(95%信頼区間 −2.52〜1.56kg)でした。信頼区間にゼロが含まれるため、統計的に有意な差とはいえません。体脂肪量は−0.79kg(−2.65〜1.06kg)、体重は−0.49kg(−4.84〜3.87kg)で、いずれも有意な差は見られませんでした。ベンチプレスの1RM(1回挙上できる最大重量)は、測定した4試験のすべてで、グループと時間の交互作用は有意ではありませんでした(Haywardは筋力を測っていません)。
体脂肪が減った2試験と、その信頼性
個別の試験を見ると、2試験(HaywardとMoro)では、時間制限食のグループで体重と体脂肪量の減少が通常の食事より大きかったと報告されています。ただし、これらの試験でも除脂肪量は保たれていました。レビューの著者は、この2試験が、報告の不足や、事前登録がないことなどで、一部の領域でバイアスの懸念があると評価されている点を強調しています。残る試験は、体重や体脂肪量でも差がありませんでした。
バイアスのリスクは、全体に高めです。5試験すべてで、報告する結果の選び方についてSome concernsとされ、いずれも試験計画が公開されていませんでした。「意図した介入からの逸脱」の領域でも、2試験がSome concerns、3試験がHigh riskでした。また、参加者は主に男性で、肥満でない健康な人に限られ、運動経験も試験によってまちまちなので、一般の人にそのまま当てはまるとは限りません。
食事の中身が揃っていない点にも注意
試験ごとに、食事の条件はばらばらです。たとえばStrattonらの試験は、摂取エネルギーを25%減らしたうえで、たんぱく質を1日体重1kgあたり1.8gとり、トレーニング日には加水分解ホエイプロテイン50gを加えていました。Strattonらの試験は4週間でした。一方、Moroらの試験は、時間制限食でも通常食でもエネルギー量は必要量の100%で、8週間のトレーニングと組み合わせています。レビュー自身、当初は1日体重1kgあたり1.2g以上のたんぱく質を条件にする予定でしたが、研究が少なくなりすぎるため、この条件を外したと説明しています。
「筋肉が減る」ではなく「上乗せは確認できない」
この結果は、「時間制限食をやると筋肉が減る」ではなく、「筋肉を増やす上乗せは確認できない」と読むのが妥当だと思います。除脂肪量の信頼区間は約−2.5kgから+1.6kgと広く、どちら向きの差も否定できません。検索は2023年までで、その後の研究は含まれていない点にも注意が必要です。食べる時間を工夫する前に、1日のたんぱく質の量とトレーニングの継続を整えるほうが確かでしょう。持病のある人や妊娠中の人、成長期の人は、食事の方法を変える前に、医師や管理栄養士に相談してください。
出典
- Verdi AMOH, et al. Time-restricted feeding with resistance training is not superior to conventional feeding for body composition and muscle strength: a systematic review and meta-analysis. An Acad Bras Cienc 2026;98(3):e20240672(PMID 42879592)
- Moro T, et al. Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) … in resistance-trained males. J Transl Med 2016;14:290
2026年10月17日時点の情報です。
本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。