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カフェインと重炭酸ナトリウムの併用、単独より上積みは確認されず

カフェインと重炭酸ナトリウムの併用を調べた13件のメタ分析が公開。プラセボとの差は小さく不安定で、単独より上積みは確認されていません。胃腸への影響の知見とあわせて整理します。

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カフェインと重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)を一緒に摂ると、どちらか単独より運動パフォーマンスが上がるのでしょうか。2026年9月に学術誌Nutrientsに載ったシステマティックレビューとメタ分析は、13件のクロスオーバー試験をまとめ、プラセボよりはわずかに良い面があるものの、単独より上積みがあるとは言えない、という趣旨の結論を出しました。しかも、プラセボとの差は、どの試験を除くかによって有意でなくなる、不安定なものでした。サプリの組み合わせを考えている人が、読み方を間違えないよう整理します。

併用でも、単独と比べた上積みは確認されなかった

論文の著者らは、PubMed、Web of Science、SPORTDiscusを2026年7月18日まで検索し、カフェインと重炭酸ナトリウムの併用(CAF+SB)を調べた13件のクロスオーバー試験を分析しました。クロスオーバー試験は、同じ参加者が条件を入れ替えて試すため、個人差の影響を抑えやすい設計です。

結果は、次のとおりでした。

  • プラセボと比べると、平均パワーが8.43 W増えた(95%信頼区間 1.85〜15.00、p=0.012)。
  • プラセボと比べると、タイムトライアルの完了時間が短くなった(比の平均 0.984、95%信頼区間 0.970〜0.998、p=0.022)。著者はこれを約1.6%の短縮に相当するとしている。
  • カフェインのみ、重炭酸ナトリウムのみと比べた平均パワーは、有意に高くなかった。

つまり、併用の効果は、「何も摂らない(プラセボ)より少し良い」と「単独より良い」の2つを分けて考える必要があり、後者は確認されていません。

プラセボとの差も、除く試験しだいで崩れる

著者らは、研究を1つずつ除いて計算し直す「リーブワンアウト」分析も行っています。その結果、平均パワーとタイムトライアルの2つの改善は、どちらも個々の研究を除くと有意でなくなることがありました。著者は、頑健性(結果の安定性)が限られると明記しています。約8W(信頼区間1.85〜15W)のパワーや1.6%という数字は、1本の研究の出入りで上下する程度の確かさだと受け止めたほうがよさそうです。

血液の重炭酸と乳酸は上がったが、成績の向上とは別

生理学的な指標では、プラセボと比べて、血中の重炭酸(HCO₃⁻)と運動後の乳酸濃度が高くなりました。ただし、重炭酸の結果は、研究間のばらつきや研究数の少なさの影響を受けています。主観的なきつさ(RPE)と消化器症状については、研究ごとの記述をまとめる形(ナラティブ)で評価され、一貫した影響は見られませんでした。著者らは、観察された生理学的な変化だけでは、成績が良くなる証拠にはならないと述べています。

胃腸のリスクは、単独の重炭酸でも指摘されている

併用の消化器症状は、この論文でも「不確か」とされています。参考になるのが、2026年7月にEuropean Journal of Sport Scienceに載った、重炭酸ナトリウムの消化器症状に関するシステマティックレビューです。101件の研究を整理し、よく使われる急性の摂取量(体重1kgあたり0.2〜0.4g)で、軽度から重度の症状が出ること、1回でまとめて摂る場合は、症状が用量に応じて増えそうなことを報告しています。軽減策として、数時間に分けて摂る、腸溶性のカプセルやタブレットにする、炭水化物ハイドロゲルに入れた小さな錠剤にする、といった方法が挙がっていますが、これらを直接比べた研究はなく、効果の順位はつけられていません。

カフェインについては、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の2021年のポジションスタンドが、体重1kgあたり3〜6mgで運動パフォーマンスを一貫して高めてきたとし、9mg/kgのような高用量は副作用が多く、必要でもなさそうだと述べています。併用した場合に、これらの量をどう組み合わせるかは、今回の分析では扱われていません。

この分析では確かめられなかったこと

  • 併用のほうが、カフェイン単独や重炭酸単独より良いとは言えない(単独と比べた結果が示されているのは、抄録では平均パワーだけ)。
  • 併用が胃腸に優しい、あるいは悪いとも言えない(耐容性は不確か)。
  • どの摂取量・タイミングが最適か、という結論は出せない。

抄録には参加者の属性(競技経験や年齢など)が示されていないため、一般の筋トレ愛好家にそのまま当てはまるかどうかは、論文の全文で確かめる必要があります。

上積みが不確かなまま、胃腸の負担は減らない

今回の13件で、併用と単独を比べた結果が示されたのは平均パワーだけで、タイムトライアルや胃腸症状を単独と比べた数字は、抄録にはありません。プラセボとの差の8.43 Wも、信頼区間が1.85〜15 Wと広く、個々の研究を除くと有意性が揺らぎます。一方で、重炭酸ナトリウムの消化器症状は、101件の研究を整理したレビューで、0.2〜0.4 g/kgの急性摂取について報告されています。カフェインは、ISSNが3〜6 mg/kgで効果が一貫しているとまとめています。根拠が比較的厚いのは、それぞれ単独の知見で、併用は「上積みは不明なのに、胃腸の負担が減るわけではない」段階だと筆者は考えます。これらの量や組み合わせを実際にどう試すかは、今回の出典では検討されていません。持病のある人、薬を飲んでいる人、妊娠中の人は、医師や薬剤師に相談してください。競技の規則(ドーピングの規定)も、事前に確認しておく必要があります。この記事は、特定のサプリの購入や摂取をすすめるものではありません。

出典

  • PubMed 42884622:Chen X, Tu W, Wang J. The Effects of Combined Caffeine and Sodium Bicarbonate Supplementation on Exercise Performance, Physiological Responses, and Gastrointestinal Tolerability: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2026;18(19):3171.(doi: 10.3390/nu18193171。抄録を確認)
  • PubMed Central PMC13400971:Winter IP, Sarac P, Wilson PB. Gastrointestinal Symptoms Associated With Sodium Bicarbonate Supplementation Protocols: A Systematic Review. Eur J Sport Sci. 2026.
  • PubMed Central PMC7777221:International Society of Sports Nutrition position stand: caffeine and exercise performance(2021)

2026年10月18日時点の情報です。

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。