プロテインの種類で筋合成に差は?51試験の分析、有意はホエイのみ
筋トレ後に摂るたんぱく質の種類と筋タンパク質合成を、51件の試験で比べたネットワークメタ分析が公開。有意とされたのはホエイのみでした。わかったことと読み方の注意点を整理します。
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プロテインの種類で、筋トレ後の筋タンパク質の合成に差があるのか。ウィーン大学などの研究チームが、1回の筋トレのあとにたんぱく質を1回分摂取した試験51件を比べたシステマティックレビューとネットワークメタ分析を、Journal of the International Society of Sports Nutritionに発表しました(PubMedへの登録は2026年10月12日)。結果は、ホエイ、エンドウ(ピー)、全卵、マイコプロテインなどの順位が近く、統計的に有意な効果が示されたのは「ホエイプロテイン」だけでした。
プロテイン選びの参考になりそうな内容ですが、この分析が調べているのは「1回の筋トレのあとに1回分を摂った場合の、1時間あたりの筋タンパク質合成率」です。筋肉の大きさや筋力の長期的な増加を直接調べたものではありません。この記事では、論文の要旨にもとづいて、わかったことと読み方の注意点を整理します。
ニュースの概要
論文の題名は「Impact of different protein sources on acute muscle protein synthesis following resistance training: a systematic review with standard and dose-response network meta-analyses」です。PubMed、EBSCOhost(MEDLINE、SPORTDiscus、CINAHLを含む)、Scopusで検索し、18歳以上の健康な成人が1回の筋トレ後に、たんぱく質を1回分摂った試験を対象にしました。混合たんぱく質や、同化作用のある成分を加えたものは除外され、生検(筋肉の組織の採取)を摂取の前後に行い、その間に他の食事を摂らないことが条件です。トレーサー法で1時間あたりの筋タンパク質合成率を測った試験が対象で、その数は51件です。
何が変わるのか(わかったこと)
標準のネットワークメタ分析
要旨によると、筋トレ後の1時間あたりの筋タンパク質合成を高める推定効果の順位(P-score。効果が高い可能性の順位を示す指標)と、平均差(%、比較対象は要旨に明記なし)は、次のとおりです。
- 1位:ネイティブホエイ(P-score 0.81、平均差0.05%[0.00〜0.10])
- 2位:エンドウたんぱく(0.77、0.05%[−0.02〜0.11])
- 3位:全卵たんぱく(0.72、0.04%[−0.01〜0.09])
- 4位:マイコプロテイン(0.66、0.03%[−0.02〜0.08])
- 5位:ホエイプロテイン(0.58、0.02%[0.01〜0.04])
統計的に有意だったのは、ホエイプロテインだけです。証拠の確実性は「低〜中程度」とされています。
用量反応のネットワークメタ分析
用量との関係を調べた分析では、動物由来(ネイティブホエイと全卵)と植物由来(エンドウとマイコプロテイン)のたんぱく質で、18〜25gの用量で予測される筋タンパク質合成の反応が最も高くなりました。結論として、研究チームは、動物性(ネイティブホエイ、ホエイ、全卵)と植物性(エンドウ、マイコプロテイン)のたんぱく質は、筋トレと組み合わせたときの急性の筋タンパク質合成への効果の推定順位が近いと述べています。一方、研究が少ない種類は慎重に解釈すべきだとしています。
読者への影響
急性の筋タンパク質合成の推定順位では、植物性(エンドウ、マイコプロテイン)も動物性と近い位置にありました。ただし、順位の差は小さく、信頼区間の多くはゼロをまたいでおり、有意とされたのはホエイプロテインのみです。研究の数が少ない種類は慎重に解釈すべきとされているため、「植物性が動物性と同じ」と言い切ることはできません。
また、この分析は、1回の筋トレと1回の摂取について、1時間あたりの筋タンパク質合成率を見ています。長期的な筋肥大を左右する、1日の総摂取量、継続的なトレーニング、睡眠、継続期間などは分析の対象外です。18〜25gは、この分析で予測反応が最も高かった用量であり、個人に推奨される摂取量を示すものではありません。
ほかのサプリメントについては、筋トレ×クレアチンの総説が公開、筋肥大の効果と注意点を整理の記事も参考になります。
確認すること
- 自分の食事で、1日のたんぱく質の総量がどれくらいか確認する。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」も参考になります。
- プロテイン製品を選ぶときは、原材料、1回あたりのたんぱく質量、添加物、アレルギー表示を確認する。
- 乳製品や卵、大豆などにアレルギーがある人、腎臓などに持病がある人は、摂取量について医師や管理栄養士に相談する。
- 「筋肉が増える」といった効果の表示は、論文の結果とは別の話であることを理解したうえで、広告を読む。
- 原文(J Int Soc Sports Nutr 2026;23(1):2740224)で、対象試験の条件を確認する。
筆者の見解
私見では、この分析で最も見落としやすいのは、「順位が高いこと」と「効果が確かめられたこと」が一致していない点です。1位のネイティブホエイを含め、上位の4種類は有意とされておらず、要旨が有意としたのは5位のホエイプロテインだけでした。順位表だけを見て製品を選ぶと、結果を読み違えるおそれがあります。また、対象は混合たんぱく質を除いた単一の素材で、生検の間に他の食事を摂らない条件の試験なので、市販の混合プロテインや、ふだんの食事とあわせて摂る場面にそのまま当てはめるのは難しいと考えます。素材の違いを気にするよりも先に、1日のたんぱく質の総量と、トレーニングを続けられているかを確かめるほうが、判断の順序として妥当だと考えます。
出典(一次情報)
- PubMed:Impact of different protein sources on acute muscle protein synthesis following resistance training(PMID 42862730)
- DOI:10.1080/15502783.2026.2740224(J Int Soc Sports Nutr 2026;23(1))
2026年10月13日時点の情報です。
本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。