【部位別筋トレ①胸】大胸筋を鍛える種目選びとボリュームの目安
大胸筋を大きくする為の種目選び、週あたりのセット数と頻度、可動域の考え方を、シェーンフェルド博士らのメタ分析をもとに解説します。
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【部位別筋トレシリーズ 第1回/全7回】
胸・背中・脚・肩・腕・お尻と太もも裏・体幹の7部位を、「役割→基本種目→ボリューム→可動域→自宅での代替→よくある失敗」の共通フォーマットで解説するシリーズです。第1回は胸(大胸筋)です。
「ベンチプレスをやっているのに胸が大きくならない」「腕や肩ばかり疲れて、胸に効いている感じがしない」
胸トレって、筋トレを始めた人がまず力を入れる部位なのに、悩みも多いんですよね。
今回は、大胸筋を育てる為に「何を・どれくらい・どうやって」やればいいのかを、筋肥大の研究をもとに整理していきます。
この記事の目次
大胸筋の役割を知っておこう
大胸筋は胸の前面を覆う大きな筋肉で、主に腕を前に押し出す・腕を体の内側に閉じる働きをしています。ベンチプレスや腕立て伏せの「押す」動作、ダンベルフライの「抱え込む」動作がまさにそれです。
大胸筋は鎖骨の下から始まる上部と、胸骨から始まる中部・下部に分けて説明される事が多く、腕を押し出す角度によって使われ方が少し変わると言われています。とはいえ、初心者の段階では細かい部位を気にするより、まず胸全体にしっかり負荷をかける事を優先した方が結果は出やすいです。
基本の3種目と、それぞれの役割
①ベンチプレス(またはダンベルプレス)
胸トレの王道です。重い重量を扱えるので、筋力を伸ばしながら胸全体に強い負荷をかけられるのが最大のメリット。肩や上腕三頭筋も一緒に使う「多関節種目」なので、時間効率も良いです。
ダンベルで行うと左右それぞれで重さを支える為、バーベルより可動域を深く取りやすいという利点もあります。
②ダンベルフライ(またはケーブルフライ)
腕を大きく開いて胸を伸ばし、抱え込むように閉じる種目です。重い重量は扱えませんが、大胸筋をしっかり伸ばした位置で負荷をかけられるのが特徴です。後で説明する「伸張位」の考え方と相性が良い種目ですね。
③腕立て伏せ
器具が無くても出来る最強の自宅種目です。「自重だから効かない」と思われがちですが、手の幅を変えたり、足を台に乗せたり、ゆっくり下ろしたりすれば十分に負荷を上げられます。
週に何セットやればいい?研究が示すボリュームの目安
筋肥大で一番大切な指標の1つが、1週間あたりのセット数(トレーニングボリューム)です。
筋肥大研究の第一人者として知られるブラッド・シェーンフェルド(Brad Schoenfeld)博士らは、2017年に15件の研究をまとめたメタ分析を発表しています。その結果、週あたりのセット数が多いほど筋肥大が大きくなる「用量反応関係」が見られ、1部位あたり週10セット以上行ったグループで、より大きな筋肥大が確認されました。
つまり胸なら、ベンチプレス4セット+フライ3セット+腕立て3セットで「週10セット」というイメージです。
週1回より週2回に分けるのがオススメ
同じシェーンフェルド博士らの2016年のメタ分析では、各部位を週2回以上鍛えた方が、週1回より筋肥大に有利という結果が出ています。
ただし、総ボリュームをそろえた場合は頻度による差は小さいとも言われています。現実的には、週10セットを1日でやるより、5セットずつ2日に分けた方が1回の質が落ちにくいと考えると分かりやすいです。
初心者の場合は、いきなり週10セットを目指さなくても大丈夫です。まずは週6セット程度から始めて、慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。
可動域は「深く」が基本。伸ばした位置を大切に
「重い重量を扱いたいから、バーを胸まで下ろさない」という人をジムでよく見かけますが、これはもったいないです。
2023年に発表されたWolfらのメタ分析では、筋力や筋肉の大きさなどをまとめて見ると、全可動域(フルレンジ)や、筋肉が伸びた位置(伸張位)を重視したやり方の方が、わずかに有利な傾向が見られました。ただし差は小さく、はっきりした結論とは言えない段階です。
2022年のPedrosaらの研究でも、太ももの筋肉を伸ばした位置で鍛えたグループの方が、筋肥大が大きかったと報告されています。この研究は脚の種目ですが、胸トレでも「しっかり下ろして、胸が伸びた位置でも負荷を抜かない」事を意識する価値はありそうです。
- ベンチプレスはバーを胸に軽く触れるまで下ろす
- ダンベルプレス・フライは、肩に痛みが出ない範囲で深く下ろす
- 腕立て伏せは胸が床に近づくまで下げる
ただし、肩に違和感がある時は無理に深くしないでください。可動域は「痛みの出ない範囲で最大限」が原則です。
自宅で胸を鍛えるなら
ジムに行けない人は、次の組み合わせがオススメです。
- 腕立て伏せ(通常・手幅広め):10〜20回を3セット
- デクライン腕立て伏せ(足を台に乗せる):負荷が上がり、胸の上部も使いやすい
- チューブを使ったチェストプレス・フライ:チューブを背中に回して押し出すだけで、負荷を調整できる
腕立て伏せでも、限界に近い回数まで行えば筋肥大は十分狙えると考えられています(低負荷でも筋肥大できる理由は、別記事で詳しく書く予定です)。
胸トレのよくある失敗
- 重量にこだわって可動域が浅い:前述のとおり、深く下ろす方が有利な可能性があります。
- 肩がすくんで肩ばかり疲れる:肩甲骨を寄せて下げ、胸を張った姿勢をキープしましょう。
- 胸の日が週1回だけ:週2回に分けるだけで、1回あたりの質が上がりやすいです。
- 毎回同じ重量・回数:少しずつ重量か回数を増やす「漸進性過負荷」を意識しましょう。
なお、胸だけを鍛えるのではなく背中もバランスよく鍛える事が大切です。過去記事「腹筋ばかりやっていてもダメ!カッコイイ体型・モテボディになる方法」でも書いていますが、見た目の印象は全身のバランスで決まるんですよね。
まとめ
- 大胸筋は「押す」「閉じる」動きを担う。まずは胸全体にしっかり負荷をかける
- 基本種目はベンチプレス(ダンベルプレス)・フライ・腕立て伏せ
- ボリュームは週10セット以上で筋肥大がより大きくなる傾向(Schoenfeld, 2017)
- 週2回に分けると有利(Schoenfeld, 2016)
- 可動域は深めに。胸が伸びた位置でも負荷を抜かない
というわけで、部位別筋トレシリーズ第1回「胸」でした。次回は「背中」。効いている感覚が分かりにくい部位なので、コツを中心にまとめます。
部位別筋トレシリーズ
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参考文献
- Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass: A systematic review and meta-analysis. J Sports Sci. 2017;35(11):1073-1082.
- Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. Effects of resistance training frequency on measures of muscle hypertrophy: a systematic review and meta-analysis. Sports Med. 2016;46(11):1689-1697.
- Wolf M, et al. Partial vs full range of motion resistance training: a systematic review and meta-analysis. Int J Strength Cond. 2023;3(1).
- Pedrosa GF, et al. Partial range of motion training elicits favorable improvements in muscular adaptations when carried out at long muscle lengths. Eur J Sport Sci. 2022;22(8):1250-1260.

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。