チェストプレスとはマシンの使い方と重量・ベンチとの違い

チェストプレス(マシン)の使い方を、シートとグリップの合わせ方、重量の決め方、ベンチプレスとの違いで解説します。マシンとフリーウェイトで筋肥大に差はあるのかを、メタ分析と比較研究をもとに整理します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
この記事の目次
チェストプレスとは
チェストプレスとは、シートに座ったまま、胸の前にあるグリップを前方へ押し出すマシン種目です。動きはベンチプレスと同じ「押す」動作で、大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋が働きます。軌道がマシンで決まっているため、バーを落とす心配がなく、ジム初心者が最初に使いやすい胸のマシンです。
「チェストプレス ベンチプレス 違い」「チェストプレス 70kg」などの検索が多く、ベンチプレスと比べて効果が劣らないか、重さの数字をどう見ればよいかが代表的な疑問です。
基本(使い方の手順)
- シートの高さ: グリップを握ったとき、手が胸の中部〜みぞおちの高さに来るよう調整します。高すぎると肩がすくみ、低すぎると胸より腕が働きやすくなります。
- グリップの位置(スタート位置): 多くの機種には、スタート時の深さを変えるレバーがあります。最初は、肘が胴体より少し後ろに来る程度に浅めに設定します。
- 背もたれ: 背中と頭をつけ、肩甲骨を軽く寄せて下げます。
- 押す: 息を吐きながら前へ押し出します。肘は伸ばし切る手前で止めても構いません。
- 戻す: 2〜3秒かけてゆっくり戻し、ウエイトのプレート同士を「ガチャン」と当てずに次の動作へ移ります。
グリップには、手のひらが下を向く横向き(プロネイト)と、手のひらが向かい合う縦向き(ニュートラル)がある機種が多く、握り方で感覚が変わります。
特徴(ベンチプレスとの違い)
2023年の研究(活動的な成人20人、1RMの60%で8回)は、ベンチプレスとシーテッドチェストプレスの筋活動をグリップ別に比べました。大胸筋の上部(鎖骨部)は、縦向きグリップのチェストプレスの方が、肩幅の1.5倍で握るベンチプレスより高い結果でした(最大収縮比で約30%対約25%)。三角筋前部は全条件で差がありませんでした。著者らは、どの種目・グリップも筋活動は同程度で、筋活動だけで選ぶのではなく、扱える負荷や技術の習熟度、競技への転移などで選ぶべきとまとめています。
長期の効果については、2023年のメタ分析(18〜60歳の成人を対象とした13研究、1,016人。うち筋肥大を測ったのは5研究)で、フリーウェイトとマシンの直接比較では最大筋力・筋肥大に差が見られませんでした。ただし、筋力の伸びは練習した器具のテストで大きく出る(特異性)ことも示されています。同年のトレーニング経験のある男性38人の8週間の研究(スクワット・ベンチプレスなど4種目をバーベルかマシンで実施)でも、フリーウェイト群とマシン群で筋力と筋断面積の伸びは同程度で、関節の不快感も両群で減っていました。
| 比較 | チェストプレス | ベンチプレス |
|---|---|---|
| 安全性(一人) | 高い。途中で止められる | セーフティバーか補助者が必要 |
| 習得のしやすさ | 高い | フォーム習得に時間がかかる |
| 筋肥大の効果 | 研究上は同程度 | 研究上は同程度 |
| 記録の比較 | 機種ごとに数字が違う | 世界共通の重さ |
具体例(重量の見方と決め方)
チェストプレスの重量表示は、機種ごとに滑車やレバーの構造が違うため、同じ「70kg」でも重さの感じ方が変わります。ベンチプレスの数字と直接比べたり、別のジムの記録と比べたりするのは避け、同じ機種で記録をつけます。
重量の決め方の例
| ステップ | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 軽い重さで10回、動きを確認 | 20kgで10回(余裕) |
| 2 | 1段ずつ上げて、12回できるか試す | 30kgで12回(あと4回できそう) |
| 3 | 8〜12回で限界の2回手前になる重さを採用 | 40kgで10回(あと2回) |
| 4 | 3セットとも12回できたら上げる | 翌週から45kg |
マシンはピンを差し替えるだけで重量を変えられるので、セットごとに重量を下げて続ける「ドロップセット」も行いやすい種目です。ただし負担が大きいので、慣れてから取り入れます。
チェストプレスの実践ステップ
- ジムのスタッフにシートとレバーの調整方法を確認する。
- 軽い重さで、手が胸の中部の高さに来るか確かめる。
- 8〜12回で限界の2回手前になる重さを探す。
- 胸トレのメニューでは、1種目目(ベンチプレスの代わり)か、プレス種目の後の2種目目に置く。
- 機種名・シートの番号・重量・回数を記録する。
チェストプレスの注意点
- 肩の前側に痛みが出るときは、スタート位置を浅くしたり、グリップを縦向きに変えたりして様子を見ます。続く場合は医師に相談してください。
- 押すときに背中が背もたれから浮くと、腰を反らせて押すことになります。背中をつけたまま押せる重さにします。
- 息を止めて力むと血圧が上がりやすくなります。押すときに吐く、戻すときに吸うリズムを保ちます。
- 使い終わったらシートの汗を拭き、ピンを元の位置に戻すなど、ジムのルールを守りましょう。
チェストプレスでよくあるミス
| ミス | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| シートが高すぎる | 肩がすくみ、肩の前が疲れる | 手が胸の中部に来る高さに |
| スタート位置が深すぎる | 肩に強い伸張がかかる | 最初は浅めに設定 |
| 勢いで押してプレートを打ちつける | 負荷が抜ける、機械を傷める | 戻しをゆっくり |
| 別の機種の数字と比べる | 伸びが分からない | 機種ごとに記録する |
チェストプレスのチェックリスト
- シートの高さとスタート位置を自分用にメモした
- 背中と頭が背もたれについたまま押せる
- 戻すときに2〜3秒かけている
- 8〜12回で限界の2回手前になる重さを使っている
- 機種ごとに記録をつけている
チェストプレスのFAQ(よくある質問)
Q. チェストプレスだけで大胸筋は大きくなりますか。
A. 研究では、マシンとフリーウェイトで筋肥大の差は見られていません。胸の主種目として使えます。
Q. ベンチプレスの重量に換算できますか。
A. 機種ごとの構造の違いがあるため、正確な換算はできません。それぞれ別の記録として扱いましょう。
Q. 縦向きと横向きのグリップはどちらがよいですか。
A. 研究では縦向きで大胸筋上部の筋活動がやや高い結果もありましたが、全体としては同程度でした。肩が楽な方を選んでください。
筆者の見解(チェストプレス)
チェストプレスは「初心者向けの軽い種目」と見られがちですが、研究を見る限り、筋肉を大きくする目的ならベンチプレスと同じ土俵で使える種目だと考えます。私見では、一人でも限界近くまで安全に追い込める点は大きな長所です。ベンチプレスのフォームに不安がある時期は、チェストプレスを胸トレの軸にしても問題ないでしょう。
チェストプレスの関連項目
- マシンとフリーウェイトの違い
- 胸トレメニュー(大胸筋の鍛え方)
- スミスマシンベンチプレス
- ベンチプレスの重量目安
- 初めてのジム
出典(一次情報)
- Comparison of Muscle Activity between the Horizontal Bench Press and the Seated Chest Press Exercises Using Several Grips(J Hum Kinet, 2023)
- Effect of free-weight vs. machine-based strength training on maximal strength, hypertrophy and jump performance – a systematic review and meta-analysis(BMC Sports Sci Med Rehabil, 2023)
- Free-Weight and Machine-Based Training Are Equally Effective on Strength and Hypertrophy(Med Sci Sports Exerc, 2023)

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。