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【部位別筋トレ②背中・肩・腕・体幹】引く・押す・支える筋肉を効かせるコツとボリュームの目安

背中・肩・腕・体幹の4部位をまとめて解説。背中は肘で引く、肩は中部・後部を補う、三頭筋はオーバーヘッドで鍛える、体幹は全身種目が土台。週のボリュームの目安と自宅での鍛え方も紹介します。

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【部位別筋トレ②背中・肩・腕・体幹】引く・押す・支える筋肉を効かせるコツとボリュームの目安

【部位別筋トレシリーズ 第2回/全3回】

前回:【胸】大胸筋を鍛える種目選びとボリュームの目安/今回は背中・肩・腕・体幹をまとめて解説します。

「背中を鍛えても腕ばかり疲れる」「肩が丸く張り出さない」「腕を太くしたいのに力こぶばかり鍛えている」「体幹=腹筋だと思っている」

胸以外の上半身と体幹には、こうした悩みがたくさんあるんですよね。

今回は、背中・肩・腕・体幹の4部位を、「役割→基本種目→効かせるコツ→ボリューム→自宅での代替」の順にまとめて整理します。どの部位も、胸の回で紹介した「週のセット数」と「伸ばした位置で負荷をかける」考え方が共通の土台です。

各部位のメニューの組み方は、「背中トレメニュー」「肩トレメニュー」「腕トレメニュー」「体幹トレーニングとは」でも詳しく紹介しています。

背中(広背筋・僧帽筋)は「肘で引く」

背中の主な筋肉

  • 広背筋:脇の下から腰まで広がる大きな筋肉。腕を上から下へ、前から後ろへ引く動作で働き、逆三角形のシルエットを作ります。
  • 僧帽筋:首の後ろから背中の中央に広がる筋肉。肩甲骨を寄せる・下げる動きを担当し、背中の「厚み」に関わります。
  • 脊柱起立筋:背骨に沿って縦に走る筋肉。姿勢を保ち、上体を起こします。

背中のトレーニングは、「上から引く」(懸垂・ラットプルダウン)と「前から引く」(ベントオーバーロウ・ダンベルロウ・シーテッドロウ)の2種類を組み合わせるのが基本です。懸垂が1回も出来ない人は、ラットプルダウンや補助付き懸垂から始めましょう。

時短筋トレでも「引く種目」は外さない

2021年にIversenらが発表した、時間効率の良い筋トレプログラムに関するレビューでは、限られた時間で全身を鍛えるなら「下半身の種目」「上半身で押す種目」「上半身で引く種目」を最低1つずつ入れる事が提案されています。押す種目ばかりになりがちな人は、懸垂やロウを外さないようにしましょう。

「腕で引かない」為の3つのコツ

  1. 「手」ではなく「肘」で引くイメージ:手はただのフック。肘を後ろ(ロウ)や下(懸垂)に引く意識を持つと、背中が使われやすくなります。
  2. 引く前に肩甲骨を動かす:まず肩甲骨を下げて寄せ、その後に腕を引く順番を意識します。
  3. 重量を落としてゆっくり:背中に効く感覚が分かるまでは、軽めの重量で丁寧に行いましょう。

グリップを握り込み過ぎると腕に力が入りやすいので、親指をバーにかけない「サムレスグリップ」や、パワーグリップを使うのも1つの手です。ロウ系で腰が痛くなる人は、胸をベンチにつけるタイプやマシンに切り替えると安心です。

肩(三角筋)は「中部と後部」を補う

三角筋は前部・中部・後部に分かれる

部位 主な働き 見た目への影響
前部 腕を前に上げる 正面から見た肩の厚み
中部(側部) 腕を横に上げる 肩幅の広さ・丸み
後部 腕を後ろに引く 横・後ろから見た立体感

三角筋の前部は、ベンチプレスや腕立て伏せなど胸の「押す」種目でも一緒に使われるので、胸トレをしっかりやっている人はすでにある程度刺激を受けています。肩トレでは中部と後部を意識的に補うのが効率的です。

  • ショルダープレス(前部・中部):頭上に押し上げる種目。座って行うと安定しやすい
  • サイドレイズ(中部):肩幅を広く見せる定番種目
  • リアレイズ(後部):普段使われにくい後部を狙う。ケーブルやマシンでもOK

サイドレイズは「重さ」より「フォーム」

重すぎるダンベルを使うと、反動で体を振る・肩がすくんで僧帽筋ばかり疲れる・肩関節を痛める、といった事が起こりやすくなります。サイドレイズは軽めの重量で12〜20回くらいを丁寧に行うのが基本です。軽い重さでも限界近くまで回数を重ねれば、筋肥大は十分に狙えます(Schoenfeld, 2017)。

  • 肩をすくめず、首を長く保つ
  • 肘を軽く曲げて固定し、肘から上げる
  • 腕は肩の高さまで。下ろす時もゆっくり

肩関節は可動域が広い分ケガをしやすいので、トレーニング前に軽く肩を回すなどのウォームアップをして、痛みがある時は無理に重量を上げないでください。

腕(上腕二頭筋・三頭筋)は「伸ばした位置」で鍛える

腕の太さの大部分は三頭筋

  • 上腕二頭筋(力こぶ):肘を曲げる筋肉
  • 上腕三頭筋(腕の裏側):肘を伸ばす筋肉。長頭・外側頭・内側頭からなり、二頭筋より大きい
  • 上腕筋:二頭筋の下で肘を曲げる筋肉。発達すると腕の厚みが増す

研究:三頭筋はオーバーヘッドで大きく発達した

2023年、立命館大学の前大純朗(まえお・すみあき)氏らの研究グループは、21人の成人を対象に12週間、同じ人の片腕をオーバーヘッド(腕を頭上に上げた位置)、もう片腕をニュートラル(腕を体の横に下ろした位置)で肘を伸ばすトレーニングを行い、MRIで三頭筋の体積を比べました。

結果は、オーバーヘッドで鍛えた腕の方が三頭筋全体の筋体積が大きく増加しました(約20%と約14%)。特に、肩と肘の両方をまたぐ長頭で差が大きくなっていました。オーバーヘッドの姿勢では扱える重量が軽くなりますが、重量が軽くなっても伸ばした位置で鍛える価値があるという事ですね。

  • 三頭筋:オーバーヘッド・トライセプスエクステンションを中心に、スカルクラッシャー、ナローベンチプレス・ディップス
  • 二頭筋:バーベルカール/ダンベルカール、腕を体の後ろに垂らして伸ばした位置から始めるインクラインダンベルカール、上腕筋も使うハンマーカール

大きな種目でも腕は使われている

ベンチプレスやショルダープレスでは三頭筋、懸垂やロウでは二頭筋も使われています。胸・背中の種目をしっかりやっている人は、カールやエクステンションは週4〜8セット程度の追加でも十分な事が多いです。腕をやり過ぎて、胸や背中の種目で力を出し切れなくなると本末転倒です。

体幹・腰は「全身種目」が土台

※腰痛がある人、腰の病気で治療中の人は、トレーニングを始める前に医師や専門家に相談してください。痛みが出る動きは無理に行わないでください。

体幹とは胴体まわりの筋肉すべて

体幹(コア)は、腹直筋・腹斜筋・腹横筋・脊柱起立筋・多裂筋・お尻の筋肉など、胴体を支える筋肉全体を指します。大事な役割は「動かす」より「動かないように支える」事です。

研究:フリーウェイト種目で腰の筋肉はよく働いていた

2013年のMartuscelloらのシステマティックレビューでは、腰部の多裂筋はスクワットやデッドリフトなどのフリーウェイト種目で、バランスボールや専用器具を使った体幹種目より活動が高かったと報告されています。腹横筋は、体幹を安定させる種目やボール・器具を使った種目で同程度に活動していました。

つまり、ロウ(背中)やショルダープレス(肩)、スクワット・デッドリフトのような重い物を持ちながら胴体を固定する全身種目で、体幹はすでにかなり鍛えられているという事です。優先順位は次のとおりです。

  1. スクワット・デッドリフト・ロウなどの全身種目を正しいフォームで行う
  2. 体幹種目で補う
  3. 見た目の為に腹直筋を鍛えたいなら、クランチ系を追加

補助として取り入れたい体幹種目

腰の研究で知られるスチュアート・マクギル(Stuart McGill)氏は、腰への負担を抑えながら体幹を鍛える種目として、カールアップ・サイドブリッジ(サイドプランク)・バードドッグの3つを紹介している事で知られています。どれも背骨をあまり動かさずに体幹で支えるタイプで、数秒〜10秒程度キープを数回繰り返すのが一般的です。プランクも、何分も続けるより正しい姿勢で短く行いましょう。

「腹筋=クランチを毎日100回」はオススメしません。背骨を強く丸める動きの繰り返しは腰に負担をかける可能性があり、腹筋運動でお腹の脂肪だけが落ちるわけでもないからです。

ボリュームと頻度の目安

胸の回と同じく、シェーンフェルド博士らのメタ分析をもとにすると、1部位あたり週10セット以上を、週2回以上に分けるのが目安です(Schoenfeld, 2016・2017)。ただし、部位ごとに「他の種目で使われている分」を差し引いて考えると現実的です。

セット数は1週間あたりの目安。胸・背中の種目で使われる分を差し引いた追加分
部位 週のセット数 組み方の例
背中 10セット以上 懸垂3セット+ダンベルロウ2セットを週2回
肩(中部) 6〜10セット サイドレイズを胸の日・背中の日に分けて入れる
肩(後部) 4〜6セット リアレイズ(背中のロウでも使われる)
腕 4〜8セット 胸・背中の日の最後にカールとエクステンションを1種目ずつ
体幹 数セット ウォームアップにプランクやバードドッグを入れる

自宅で鍛えるなら

  • 懸垂バー:ドア枠に取り付けるタイプなら場所を取らず、背中トレの最強アイテムです。
  • ダンベル:ワンハンドロウ(背中)、ショルダープレス・サイドレイズ・リアレイズ(肩)、オーバーヘッドエクステンション・カール(腕)が全部出来ます。
  • トレーニングチューブ:ロウやラットプルダウン、サイドレイズ、カールの動作を再現できます。2019年のLopesらのメタ分析では、ゴムの抵抗でもマシンやフリーウェイトと同程度に筋力が向上したと報告されています(筋力の比較で、筋肥大を直接比べた研究ではありません)。
  • 自重:パイクプッシュアップ(肩)、椅子ディップス(三頭筋)、プランク・サイドブリッジ・バードドッグ(体幹)。

床を傷めたくない人は「【自宅デッドリフト】床破損が心配ならチューブ代用がオススメな5つの理由」も参考にしてください。

よくある失敗

  • 反動を使って重量だけ上げる:ロウやカールで体を振ると、狙った筋肉から負荷が逃げます。
  • 可動域が狭い:懸垂は腕が伸びきるまで下ろし、エクステンションは肘を曲げ切る。伸びた位置でも負荷を抜かないのがポイントです。
  • サイドレイズが重すぎる:首(僧帽筋)ばかり疲れるなら、重量を下げて肩を下げたまま上げましょう。
  • 二頭筋ばかりで三頭筋をやらない:腕の太さの大部分は三頭筋です。
  • 体幹を腹筋運動だけで済ませる:全身種目のフォームを整える方が、体幹の「支える」力につながります。

よくある質問

Q. 背中・肩・腕・体幹は同じ日にやってもいい?

A. 構いません。例えば「背中の日」の最後にリアレイズとカール、「胸の日」の最後にサイドレイズとエクステンションを入れると、肩と腕のボリュームを無理なく確保できます。体幹種目はウォームアップに入れると続けやすいです。

Q. 腕だけの日を作った方がいい?

A. 腕を重点的に伸ばしたい時期なら「腕の日」を作るのもアリです。ただ、多くの人は胸・背中の日の最後に腕の種目を1〜2種目追加するだけで十分です。

Q. 肩や肘、腰が痛い時はどうすればいい?

A. 痛みがある動きは避けて、重量を下げる、ケーブルやチューブに替えるなどで負担を減らしてください。痛みが続く場合や、しびれがある場合は医療機関を受診しましょう。

まとめ

  • 背中は「上から引く+前から引く」。腕ではなく肘で引き、時短メニューでも引く種目は外さない(Iversen, 2021)
  • 肩は中部と後部を意識的に補う。サイドレイズは軽めで丁寧に
  • 腕は三頭筋が主役。オーバーヘッドで鍛えた方が筋体積が大きく増加した(Maeo, 2023)
  • 体幹は全身種目が土台。腰部の多裂筋はフリーウェイト種目でよく働いていた(Martuscello, 2013)
  • 1部位あたり週10セット以上を週2回が目安。他の種目で使われる分を差し引いて考える

というわけで、部位別筋トレシリーズ第2回「背中・肩・腕・体幹」でした。次回は最終回「お尻・太もも裏」。ヒップスラストとレッグカールの使い分けを解説します。

部位別筋トレシリーズ

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参考文献

  • Iversen VM, Norum M, Schoenfeld BJ, Fimland MS. No time to lift? Designing time-efficient training programs for strength and hypertrophy: a narrative review. Sports Med. 2021;51(10):2079-2095. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8449772/
  • Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass. J Sports Sci. 2017;35(11):1073-1082.
  • Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. Effects of resistance training frequency on measures of muscle hypertrophy. Sports Med. 2016;46(11):1689-1697.
  • Schoenfeld BJ, Grgic J, Ogborn D, Krieger JW. Strength and hypertrophy adaptations between low- vs. high-load resistance training. J Strength Cond Res. 2017;31(12):3508-3523.
  • Maeo S, et al. Triceps brachii hypertrophy is substantially greater after elbow extension training performed in the overhead versus neutral arm position. Eur J Sport Sci. 2023;23(7):1240-1250.
  • Martuscello JM, et al. Systematic review of core muscle activity during physical fitness exercises. J Strength Cond Res. 2013;27(6):1684-1698.
  • McGill SM. Low Back Disorders: Evidence-Based Prevention and Rehabilitation. Human Kinetics.
  • Lopes JSS, et al. Effects of training with elastic resistance versus conventional resistance on muscular strength: a systematic review and meta-analysis. SAGE Open Med. 2019;7:2050312119831116.

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。