体幹トレーニングとは意味・効果と種目の選び方

体幹トレーニングとは、胴体まわりの筋肉で姿勢を安定させる力を鍛えるトレーニングです。体幹(コア)の意味、ブレーシングとドローインの違い、腰痛や運動能力への効果の実際、初心者向けメニューを研究と学会声明をもとに解説します。
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この記事の目次
体幹トレーニングとは
体幹トレーニングとは、胴体(お腹・背中・腰・お尻まわり)の筋肉を使って、背骨や骨盤を安定させる力を鍛えるトレーニングのことです。英語では「コアトレーニング」と呼ばれます。プランクのように姿勢を保つ種目が有名ですが、それだけが体幹トレーニングではありません。
「体幹トレーニング 効果」「体幹 鍛えるとどうなる」と検索されることが多い一方、効果については誇張された情報も見かけます。この記事では、学会声明と研究から、体幹の定義、鍛え方の考え方、期待できる効果と限界を整理します。
基本(体幹とは何か)
カナダ運動生理学会(CSEP)の2010年の声明では、コア(体幹)を「体軸骨格(頭蓋骨・背骨・肋骨・胸骨など、体の軸となる骨格)と、体軸骨格から起こる(近位の付着部がある)すべての筋肉などの軟部組織。その先が手足の骨に付着していても含む」と定義しています。腹筋だけでなく、背中、お尻、肩まわりの一部まで含む広い概念です。
同じ声明では、体幹の安定は、筋肉の活動とお腹の中の圧力(腹腔内圧)の組み合わせで得られると説明しています。お腹の締め方には主に2つあります。
| 方法 | やり方 | 声明での評価 |
|---|---|---|
| ブレーシング | お腹全体を周囲から固めるように力を入れる | 背骨の安定にはこちらがより効果的 |
| ドローイン(ホローイング) | おへそを背骨に引き込むようにへこませる | 安定性の面ではブレーシングに劣る |
重い物を持つ場面ではブレーシングが基本と覚えておくとよいでしょう。
具体例(体幹トレーニングの種類と効果の実際)
体幹トレーニングは、大きく3つの方向に分けて考えると種目を選びやすくなります。
| 方向 | 代表的な種目 | 狙い |
|---|---|---|
| 反らない(抗伸展) | プランク、腹筋ローラー | 腰が反るのを防ぐ |
| 曲がらない(抗側屈) | サイドプランク、片手でのキャリー | 体が横に倒れるのを防ぐ |
| ねじれない(抗回旋) | バードドッグ、パロフプレス | 体がねじれるのを防ぐ |
効果について、研究からは次のことが分かっています。
- 運動能力: 24研究を調べた2012年のシステマティックレビューでは、体幹に特化したトレーニングが競技パフォーマンスにもたらす効果はわずか(marginal)と結論づけています。多くの研究では体幹トレーニングが他の練習と組み合わされており、単独の効果は切り分けにくいとしています。
- 不安定な器具: CSEPの声明は、バランスボールなど不安定な土台を使うと体幹の筋活動は高まるものの、発揮できる力やスピードが落ちるため、競技者の主なトレーニング方法としては勧めていません。また、スクワットやデッドリフトなど床に立って行うフリーウエイト種目でも、同程度以上の体幹の筋活動が得られるとしています。
- 慢性腰痛: 118試験(9,710人)を分析した2022年のネットワークメタ分析では、一部の例外(痛みに対するストレッチ、障害に対するマッケンジー法)を除き、ほとんどの運動が痛みや日常生活の障害の改善に有効で、痛みの軽減ではピラティス、マインドボディ系、体幹中心の運動が上位でした。
体幹トレーニングの実践ステップ
初心者が週2〜3回、他のトレーニングの最後に10分程度で行うメニュー例です。
- プランク 20〜30秒×2〜3セット(反らない)
- サイドプランク 左右各15〜30秒×2セット(曲がらない)
- バードドッグ 左右交互に各8〜10回×2セット(ねじれない)
- 2〜4週間ごとに、秒数・回数・セット数のどれか1つを増やす
- 慣れてきたら、スクワットやデッドリフトなど、立って重りを持つ種目でブレーシングを練習する
体幹トレーニングの注意点
- 体幹トレーニングだけで運動能力が大きく上がる、腰痛が必ず治る、といった表現は研究の結論を超えています。
- 腰痛がある人、特に足のしびれや強い痛みがある人は、自己判断で始めず医師に相談してください。
- 不安定な器具は、転倒しないよう周囲の安全を確保して使います。
- お腹をへこませるドローインが悪いわけではありません。目的に応じて使い分けます。
体幹トレーニングでよくあるミス
| ミス | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| プランクの秒数だけ伸ばす | 他の方向の安定性が鍛えられない | 3つの方向から1種目ずつ選ぶ |
| 不安定な器具ばかり使う | 重い負荷をかけにくい | 床でのフリーウエイトと組み合わせる |
| 体幹だけで競技力が上がると期待する | 成果が見えず挫折する | 競技練習や全身の筋トレと組み合わせる |
| 息を止めて長時間耐える | 血圧が上がりやすい | 浅く呼吸しながら姿勢を保つ |
体幹トレーニングのチェックリスト
- 体幹は腹筋だけでなく、背中やお尻を含む広い概念だと理解している
- 反らない・曲がらない・ねじれないの3方向を鍛えている
- 重い物を持つときのブレーシングを練習している
- 不安定な器具は補助として使っている
- 効果を過大に期待せず、全身の筋トレと組み合わせている
- 腰の症状がある場合は医師に相談している
体幹トレーニングのFAQ(よくある質問)
Q. 体幹トレーニングと腹筋運動は何が違いますか。
A. 腹筋運動は体を曲げる動きが中心で、体幹トレーニングは姿勢を崩さずに保つ動きが中心です。体幹には腹筋以外の筋肉も含まれます。
Q. 体幹を鍛えると腰痛はよくなりますか。
A. 2022年のメタ分析では、体幹中心の運動は慢性腰痛の痛みや障害の軽減に有効な運動の一つでした。ただし、ピラティスや筋トレなども同様に有効で、体幹トレーニングだけが特別というわけではありません。
Q. バランスボールは使ったほうがいいですか。
A. 必須ではありません。CSEPの声明では、リハビリや、フリーウエイトを使いたくない人には役立つ可能性があるとしつつ、主なトレーニング方法としては勧めていません。
Q. 毎日やってもいいですか。
A. 自重の軽い種目なら毎日でも構いませんが、週2〜3回でも十分です。
筆者の見解(体幹トレーニング)
体幹トレーニングは、魔法のようなトレーニングではなく、胴体を安定させる基礎練習だと考えます。私見では、プランクを何分できるかにこだわるより、3つの方向をバランスよく鍛え、スクワットなどの種目でお腹を固める技術に生かすほうが実用的です。効果を過大に期待せず、全身のトレーニングの一部として淡々と続けるのがよいでしょう。
体幹トレーニングの関連項目
- プランクのやり方
- 腹筋メニュー(腹筋の鍛え方)
- 腹筋ローラー(アブローラー)
- バックエクステンション(背筋の鍛え方)
- スクワット
出典(一次情報)
- Canadian Society for Exercise Physiology position stand: The use of instability to train the core in athletic and nonathletic conditioning(Appl Physiol Nutr Metab, 2010)
- The effects of isolated and integrated 'core stability' training on athletic performance measures: a systematic review(Sports Med, 2012)
- Best Exercise Options for Reducing Pain and Disability in Adults With Chronic Low Back Pain(J Orthop Sports Phys Ther, 2022)

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。