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サプリでジャンプ力は上がる?119件を比べた分析、確実性は非常に低い比較が大半

運動習慣のある人を対象に、サプリが瞬発力・ジャンプに与える影響を119件の試験で比較したネットワークメタ分析。HMBなどの結果と、確実性が低い点を抄録から整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

サプリメントで、ジャンプ力や瞬発力は上がるのでしょうか。Journal of the International Society of Sports Nutrition(JISSN)に掲載された論文が、運動習慣のある人やアスリートを対象に、サプリメントがピークパワーやジャンプの成績に与える影響を、ランダム化比較試験119件を対象にしたベイズ・ネットワークメタ分析で比べています。論文は2026年10月1日にオンライン公開され、PubMedにも同日登録されました。この記事では、論文の抄録(要旨)の内容と、プロテインやサプリを選ぶ人が結果をどう受け止めるとよいかを整理します。

ニュースの概要

論文のタイトルは「Effects of dietary supplements on lower-limb power and jump performance in physically active individuals and athletes: a systematic review and Bayesian network meta-analysis」(PubMed ID 42821324)です。抄録によると、PubMed、Web of Science、Embase、Cochrane Libraryを2026年9月8日に最終検索し、2026年8月31日までに英語で発表された、運動や鍛錬の経験がある健康な人を対象とするランダム化比較試験(並行群間・クロスオーバー)を対象にしています。ピークパワー(PP)、相対ピークパワー(RPP)、垂直跳び(VJ)、カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)の4つの指標について、別々のネットワークを作って比較しました。システマティックレビューは、PROSPEROに後から登録されています(CRD420261283835)。

何が変わるのか

主な結果

合計119件の研究が対象で、PP、RPP、VJ、CMJのネットワークは、それぞれ47件、33件、31件、44件の研究で構成されました。1つの研究が複数の指標に使われている場合があります。抄録に書かれた主な結果は次のとおりです。

  • プラセボ(偽薬)と比べて、HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)は、介入前後の変化量の差(平均差)が、ピークパワーで64.70W(95%信用区間19.15〜110.50)、相対ピークパワーで0.84W/kg(同0.42〜1.28)の平均差が出ました。
  • β-アラニンはピークパワー、クレアチンとビタミンDは相対ピークパワーで、好ましい効果が示されました。
  • 鉄の補給は、垂直跳びの平均差が6.81cm(同0.84〜12.83)でしたが、直接比較した研究は1件だけでした。
  • カウンタームーブメントジャンプでは、ベタインが3.72cm(同1.24〜6.18)でした。パルミトイルエタノールアミド、カフェインとロディオラ・ロゼアの併用、クレアチン、複合サプリ、カフェインの信用区間も、0を含みませんでした。

大半の比較で、エビデンスの確実性は非常に低い

ここで重要なのは、確実性の評価です。1,636の組み合わせ(ペアワイズ比較)のうち、確実性が「中程度」と評価されたのは17件、「低い」は55件、「非常に低い」は1,564件でした。HMBとプラセボの比較は、ピークパワー・相対ピークパワーとも「中程度」とされています。HMBの相対ピークパワーの結果は、複数の感度分析でも比較的安定していた一方、ほかの好ましい結果の一部は、予測区間が0を含むか、感度分析で効果が小さくなりました。研究者は、直接のエビデンスが限られ、ほとんどの比較で確実性が非常に低いと結論づけています。

論文が示した解釈上の注意

結論では、対象にした集団とサプリの摂取方法の範囲で解釈すべきこと、ネットワーク間の違いから「結果の種類によってサプリの効果が変わる」とは言えないこと、順位だけで個別のサプリ計画を決めてはならないことが明記されています。また、結果の部分では、相対ピークパワーについて、トレーニングレベルや競技との関連が探索的に見られたものの、エビデンスが少なく、共変量の分布も偏っており、解釈には限界があるとされています。

読者への影響

  • プロテインやサプリを選んでいる人: 今回の分析は、瞬発力やジャンプの指標が対象で、筋肥大や筋力そのものを評価したものではありません。プロテインそのものは、この抄録では取り上げられていません。
  • 競技者・大会に出る人: 一般に、サプリには禁止物質が混入している可能性などの別のリスクもあるとされています(論文の結果ではありません)。使う前に、競技団体のルールや、サプリの成分表示を確認することが必要です。
  • 一般の人: 今回の論文でも、「好ましい効果」とされた結果の多くは、確実性が低い評価でした。なお、一般にサプリは食事・睡眠・トレーニングを補うものと言われており、代わりになるものではありません。

確認すること

  1. 論文の原文(出典1、出典2)で、対象者(運動習慣のある健康な人・アスリート)、摂取量や期間を確認し、自分に当てはまるかを考えます。
  2. 「効果あり」と書かれた記事や広告を見たときは、確実性(非常に低い・低い・中程度)が書かれているかを確認します。
  3. 持病や服薬中の人、妊娠中・授乳中の人は、サプリを始める前に医師や薬剤師に相談します。
  4. 競技者は、使用するサプリの成分と、アンチ・ドーピングのルールを確認します。

筆者の見解

私見では、この論文でいちばん価値があるのは、HMBの数値そのものより、どの結果がどの程度の確かさなのかを、比較ごとに示した点だと考えます。同じ「好ましい効果」でも、確実性が中程度のHMBと、直接の研究が1件しかない鉄の6.81cmとでは、重みがまったく違います。

また、垂直跳びとカウンタームーブメントジャンプで上位に入ったサプリが違っても、論文は「指標によって効く成分が変わる」とは言えないとしており、ここを読み違えた解説が出回りそうだと考えます。アスリートが今回の結果を役立てるなら、順位を見て次のサプリを選ぶより、いま使っているサプリが、この分析ではどの確実性の区分に入るのかを確かめるところから始めるのが現実的です。

出典(一次情報)

2026年10月12日時点の情報です。

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。