クレアチンはサッカーに効く?41研究のレビュー、確実性は非常に低い
サッカー選手のクレアチン摂取を調べた41研究の系統的レビューが公開。反復スプリントや筋力で良い報告がある一方、確実性はどの領域も非常に低く、体重が増えやすい点も指摘されました。
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クレアチンはサッカーのパフォーマンスに役立つのか。サッカー選手を対象にした41件の研究をまとめた系統的レビューが、10月2日に国際スポーツ栄養学会の学術誌で公開されました。結論は「示唆はあるが決定的ではない」で、反復スプリントや筋力などで良い結果を報告した研究がある一方、根拠の確実性はどの領域も「非常に低い」と評価されています。体重が増えやすい点も指摘されました。この記事では、研究の内容と、サプリを検討する人が知っておきたい点を整理します。
ニュースの概要
イラン・カナダ・米国などの研究者によるチームは2026年10月2日、学術誌 Journal of the International Society of Sports Nutrition(JISSN)に、サッカー選手のクレアチン摂取の効果を調べた系統的レビューを発表しました。PubMed にも同日登録されています。
サッカーは、短いダッシュや加速、ジャンプなど、短時間で高い強度の動きを繰り返す競技です。クレアチンは、こうした動きに使われるエネルギー(ATP)の再合成を助けると考えられているため、サッカー選手にも合う可能性があるとされてきました。ただし、サッカー選手を対象にした研究の結果は一致しておらず、今回のレビューはその整理を目的としています。
クレアチンとサッカーの研究で分かったこと
研究の規模と方法
- PubMed・Scopus・Web of Science を2025年5月15日まで検索し、45件の報告(41件の研究)を分析
- 内訳は、ランダム化した並行群間の研究28件、ランダム化したクロスオーバーの研究2件、ランダム化していない、またはランダム化かどうか確認できない比較研究11件
- 研究の設計や摂取方法、対象者、測った項目がばらばらなため、数値をまとめて計算する「メタ分析」は行わず、結果を質的に整理しています
- 対象は男女・年齢・競技レベルを問わないサッカー選手ですが、女性を含む研究は一部にとどまります
主な結果
- 良い結果の報告があった項目:反復スプリント、無酸素性パワー、筋力。ただし比較の結果は一貫せず、確実性は非常に低いとされています。
- 結果が分かれた項目:垂直跳び、技術的なスキル。
- 一貫した効果がみられなかった項目:方向転換の速さ、持久力。回復や疲労に関する項目も、効果なし、または一貫しない結果が中心でした。
- 体組成:体重は、特に「ローディング」(最初に多めに摂る方法)の後に増えることが多く、除脂肪量(筋肉など)が増えるという根拠は限られ、一貫していません。
摂取方法の傾向
レビューに含まれた研究では、1日20gまたは体重1kgあたり0.3gを4〜7日間摂るローディングが多く、長期の研究(14日〜28週)では1日3〜10gが使われていました。ただし、これは研究で使われた方法の傾向です。著者は、量の目安はこのサッカーに限ったレビューではなく、より広いクレアチン研究や専門家の合意文書から引くべきだとしています。
利益相反と資金
この研究は特定の研究資金を受けていません。一方で、著者の一部は、クレアチン製品のメーカーの科学顧問を務めたり、研究用にクレアチンの提供を受けたりしていると開示しています。掲載誌を発行する国際スポーツ栄養学会の役員も著者に含まれます。
読者への影響
サッカーやフットサルなど、走って止まって跳ぶ動きの多い競技をしている人にとっては、「クレアチンを飲めば試合のパフォーマンスが上がる」とは言い切れない、というのが今回の整理です。スプリントや筋力の一部で良い報告はあるものの、研究の質や設計の違いが大きく、確実性は非常に低いとされています。
また、体重が増えやすい点は見落とせません。筋トレで体を大きくしたい人には問題になりにくい一方(ただし、体重の増加が筋肉の増加とは限りません)、走る距離が長く、体の軽さが動きに関わる競技では、体重の増加が不利に働く可能性もあります。筋トレとクレアチンの関係については、筋トレ×クレアチンの総説の記事で整理しています。
成長期の選手や、持病のある人、薬を飲んでいる人は、サプリを始める前に医師やスポーツ栄養の専門家に相談してください。このレビューは安全性を体系的に評価したものではありません。
確認すること
- 目的をはっきりさせる:筋力や反復スプリントへの効果を期待するのか、体を大きくしたいのかで、クレアチンの位置づけは変わります。著者も、クレアチンを試合のパフォーマンスを確実に高める方法として扱うべきではないとしています。
- 体重と体調を記録する:試す場合は、体重、胃腸の調子、走りや跳躍の感覚の変化を記録し、競技に合うかを判断します。
- 大会の時期を避けて試す:体重が増えたり体感が変わったりすることがあるため、新しいサプリは試合の直前ではなく、練習の期間に試すのが無難です。
- 製品の表示と品質:成分や量の表示を確認し、ドーピング検査がある競技では、検査に対応した製品かどうかも確かめます。
- 食事を優先する:サプリより先に、エネルギーとたんぱく質が足りているかを見直します。
筆者の見解
私見では、このレビューで役に立つのは「効くか効かないか」の答えではなく、良い報告が反復スプリント・無酸素性パワー・筋力に集まり、持久力・方向転換・回復では集まらなかったという分布だと考えます。サッカーの試合は後者の要素も大きいため、練習での数値が良くなっても、それがそのまま試合に出るとは限らない点は見落としやすいところです。また、体重の増加は報告が多い一方で、それが動きにプラスかマイナスかはレビューでも分かっていません。まず「増えても困らないか」を自分のポジションで考え、困るなら体重の記録を判断の基準にするのが現実的です。著者の一部にクレアチン業界との関わりがあり、そのうえで「確実性は非常に低い」と結論づけている点も、慎重に読む目安になると考えます。
出典(一次情報)
- PubMed:Creatine supplementation in soccer players: a systematic review(PMID 42826085)
- PubMed Central:論文全文(J Int Soc Sports Nutr. 2026;23(sup1):2735569)
- Journal of the International Society of Sports Nutrition(DOI:10.1080/15502783.2026.2735569)
2026年10月15日時点の情報です。
本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。