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ホエイプロテイン8週間の試験、アスリートの肝酵素とCKが低下 59人のRCT

男性アスリート59人に1日30gのホエイを8週間。摂取群でALT・AST・CKが低下したRCTを、抄録に沿って整理します。群間差が示されていないなど、読み方の注意も。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

ホエイプロテインを毎日飲むと、体への負担はどうなるのでしょうか。European Journal of Sport Scienceの2026年11月号(26巻11号)に掲載された無作為化二重盲検プラセボ対照試験(Ben Mhamed M氏ら、DOI: 10.1002/ejsc.70279)は、パワー系と持久系のトレーニングを積んだ男性アスリート59人に、1日30gのホエイプロテインを8週間飲んでもらい、肝機能・炎症・筋損傷の指標を調べました。結果は、ホエイを飲んだ群で肝酵素のALT・ASTと筋損傷の指標CKが下がった、というものです(ただし、抄録にはホエイ群とプラセボ群の差の検定結果は書かれていません)。この記事では、論文の抄録(Europe PMCで公開)に沿って内容を整理します。全文は確認できていません。医療上の助言ではなく、研究結果の紹介です。

パワー系30人・持久系29人を2群に分けた8週間の試験

抄録によると、対象は男性アスリート59人で、パワー系(主に瞬発力・無酸素パワーの種目)30人と、持久系29人に分けられました。それぞれが、ホエイプロテイン群(1日30g)とプラセボ対照群にランダムに割り付けられています。期間は8週間で、介入の前後に次の4つの指標を測りました。

  • ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ):主に肝臓の負担を見る酵素(ASTは筋肉にも含まれます)
  • CRP(C反応性たんぱく):炎症の指標
  • CK(クレアチンキナーゼ):筋損傷の指標

結果:ALT・AST・CKが低下、CRPはパワー系の群内で低下

持久系・パワー系のどちらでも、ホエイ摂取後にALT、AST、CKが有意に低下したと記載されています(p値は0.001、0.015、0.001、0.003の4つが並んでいますが、抄録では指標との対応がはっきりしません)。著者らは、運動に伴う肝臓と筋肉への負担が弱まったことを示すと述べています。一方、プラセボ群は、酵素やCRPの値が横ばい、または上昇していて、特に持久系で目立ったとされています。

種目によって反応が違うと統計的に示されたのは、4つの指標のうちALTだけでした(時間×摂取×トレーニング種別の3要因の交互作用、p = 0.003)。抄録は、パワー系のアスリートでALTにその種目特異的な効果が見られたとしています。パワー系のホエイ群では、CRPが群内で有意に下がりましたが(p = 0.039)、CRPの交互作用は有意ではなく、著者らは「種目による違いの証拠」ではなく「群内の傾向」として報告しています。持久系のCRPの変化は小さく、有意ではありませんでした。

「下がった」は「健康になった」ではない 読むときの5つの注意

  • ホエイ群とプラセボ群の差は抄録に示されていない:書かれているのは、各群の摂取前後の変化です。プラセボ群と比べてホエイ群が有意に低かったかどうかは、全文の群間比較を見ないと分かりません。
  • 対象は男性アスリート59人:女性、一般のトレーニーや高齢者、運動習慣のない人に、同じ結果が当てはまるかは、この試験からは分かりません。
  • 代理指標の変化:ALT・AST・CKは、運動の負担を映す血液の値です。値が下がったことが、けがの減少や回復の速さ、パフォーマンスの向上に結びつくかは、抄録では示されていません。
  • 摂取量と期間が限られる:1日30g、8週間の結果です。著者らも、長期の結果や摂取量ごとの違いは今後の研究が必要としています。
  • 機序は推測:抗酸化や抗炎症の作用が関わっている可能性が示されていますが、この試験でその仕組みを確かめたものではありません。
  • 肝臓に持病がある人の話ではない:肝機能に不安がある人や、検査で異常を指摘されている人は、自己判断でプロテインを増やさず、医師に相談してください。

プロテインを選ぶ・続けるとき、この結果をどう使うか

運動をする人の中には、プロテインの摂り過ぎで肝臓や腎臓に負担がかかるのでは、と心配する人もいます。今回の試験は、トレーニングを積んだ男性アスリートが1日30gを8週間飲んだ群で、肝酵素が上がる方向の変化は見られず、むしろ下がった、という報告です。なお、腎臓の指標は今回調べられていません。これは1つの小規模な試験の結果で、「どれだけ飲んでも安全」とまでは言えません。1日30gは市販品の1〜2回分にあたり、ふだんの飲み方に近い量での報告といえます。食事全体のたんぱく質量や、体質、ほかのサプリとの併用も関わります。

筆者の見方:種目差が出たのがALTだけだった点を、どう読むか

ここからは筆者の見方です。気になるのは、種目による反応の違いが確かめられたのが、肝臓への特異性が比較的高いALTだけだった点です。ASTとCKは筋肉由来の値も含むため、種目で差が出にくかった可能性もありますが、これは筆者の推測で、抄録には書かれていません。また、プラセボ群の値が横ばいか上昇していたことから、「トレーニングによる負荷をホエイが和らげた」という読み方もできます。ただ、介入期間中のトレーニング内容は抄録に書かれておらず、ホエイ群とプラセボ群の差も示されていないため、そう言い切れるかどうかは、全文の群間比較を見て決まります。

参考にした論文情報

2026年11月4日時点の情報です。

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。

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