筋トレ+プロテインでスクワット7.4kg差、23試験の分析
筋トレにプロテインを足すと筋力は伸びるのか。23件のRCT・611人の分析で、スクワットは平均7.40kg、ベンチプレスは2.63kg差。効果が出た条件と限界を整理。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
筋トレにプロテインを足すと、筋力は余分に伸びるのか。この問いを、健康な若い成人を対象とした23件のランダム化比較試験(計611人)でまとめた論文が、Frontiers in Nutritionに2026年10月に掲載されました。結果は、筋トレだけの群と比べて、ベンチプレスの1RMが平均2.63kg、スクワットの1RMが平均7.40kg、プロテインを足した群で多く伸びていた、というものです。ただし、効果の大きさは条件によって変わる可能性があり、結果のばらつきも非常に大きい分析です。ベンチプレスやスクワットの「1RM」は、1回だけ持ち上げられる最大重量のことです。
ベンチプレス2.63kg、スクワット7.40kgの差
著者らは、PubMed、Web of Science、Cochrane Library、SPORTDiscusを2026年4月1日まで検索し、健康な若い成人に筋トレをさせ、プロテイン補給の有無で筋力を比べた研究を集めました。主な結果は次のとおりです。
- ベンチプレス(32の比較):加重平均差2.63kg(95%信頼区間0.77〜4.49、p=0.006)
- スクワット(15の比較):加重平均差7.40kg(95%信頼区間2.15〜12.66、p=0.006)
一つの試験が複数の比較(用量や種類の違いなど)に使われているため、比較の数が試験の数より多くなっています。筋トレだけの群との差は、統計的にはどちらも有意でした。しかし、試験間のばらつきを示すI²は、ベンチプレスで92.8%、スクワットで93.9%と非常に高く、研究ごとに結果がかなり違うことを意味します。「平均してこれだけ伸びる」という数字を、そのまま自分に当てはめるのは適切ではありません。
スクワットの差は、12週以内と「寝る前も含めた摂取」で大きかった
スクワットでは、条件によって差の出方が違いました。介入が12週以内の研究(12の比較)では差が10.64kg(95%信頼区間5.42〜15.86)あった一方、12週を超える研究(3つの比較)では−2.99kg(同−6.53〜0.55)で、有意な差は見られませんでした。メタ回帰では、介入期間がばらつきの有意な要因で(p=0.037)、プロテインを摂るタイミングは境界線上の要因(p=0.073)とされています。
摂取のタイミングでは、運動の前後に加えて寝る前にも摂っていた研究(2つの比較)で、差が10.14kg(同6.42〜13.85)と有意でした。ただし、このグループは比較の数が2つしかなく、論文自身も、タイミングに関する結論は慎重に解釈すべきだと書いています。
性別では、ベンチプレスの男性だけの研究(21の比較)で2.15kg(同−0.31〜4.60)、女性だけの研究(3つの比較)で4.65kg(同−1.33〜10.64)と、どちらも有意ではありませんでした。男女混合の研究(8つの比較)では3.22kg(同0.34〜6.11)で有意でした。サブグループが細かく分かれるほど、比較の数が少なくなり、数字は不安定になります。
著者自身が挙げる限界
論文は、結論として「若い健康な成人で、筋トレにプロテイン補給を組み合わせると筋力が向上する。ただし、その上乗せは、期間、摂取のタイミング、トレーニング歴、もともとのタンパク質摂取量に左右されるとみられ、誰にでも当てはまるものではない」としています。限界としては、次の点が書かれています。
- ベンチプレスとスクワットの両方で、試験間のばらつきが大きく、説明できない部分が残る
- 摂取量の違いごとの比較(低・中・高用量)ができる試験がなく、量と効果の関係(用量反応)は分析できなかった
- タイミングやトレーニング歴のサブグループは、含まれる介入が少ない
- 多くの試験が男性を対象としており、もともと食事でどれだけタンパク質を摂っていたかも、報告や標準化がされていない
- 同じ対照群を複数の比較に使った研究があり、結果の精度が実際より高く見積もられている可能性がある
論文は考察で、すでに食事からのタンパク質が十分な人では、追加の補給の効果が小さくなる可能性にも触れ、1日の総摂取量がおよそ1.62g/kgを超えると、除脂肪量の増加への上乗せがなくなるという別の研究(Mortonら)を引いています。これは今回の分析の結果ではなく、解釈の材料として論文が紹介しているものです。
個人的には、スクワットの7.40kgを「プロテインを足せば7kg伸びる」と読むのは避けたいと考えます。この数字は筋トレだけの群との差の平均で、15の比較の間のばらつきも非常に大きいからです。12週を超えると差が見られなくなった点を、論文は、長い期間では神経や筋の適応が頭打ちになり、プロテインの相対的な寄与が小さくなるためと説明しています。ただ、12週を超える群は女性だけの研究と男女混合の研究の計3比較しかなく、期間ではなく対象者の違いが表れている可能性もあると、筆者は見ています(論文の結論ではなく、筆者の推測です)。自分に当てはめるなら、まず数日分の食事から1日のタンパク質量を書き出し、論文が引く目安(除脂肪量についての約1.62g/kg)と比べてから、補給を考える順序が、この結果の読み方に合っていると思います。持病や腎機能に不安がある人は、食事の変更前に医療機関や管理栄養士に相談してください。
出典
- PubMed:Protein supplementation and resistance training-induced strength gains in young adults: a meta-analysis(Front Nutr. 2026)
- Frontiers in Nutrition:同論文(DOI 10.3389/fnut.2026.1946052。PMC13710401で全文)
2026年10月28日時点の情報です。
本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。