植物性とホエイのプロテイン、5試験で体組成に差なし
植物性とホエイのプロテインを、筋トレを始める成人で比べたメタ分析が10月29日に公開。5件の研究で除脂肪量と体脂肪量に有意差はなし。研究数が少ない点と読み方の注意をまとめました。
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筋トレをしている人が選ぶプロテインで、植物性のものはホエイの代わりになるのか。この疑問に取り組んだ系統的レビューとメタ分析が、2026年10月29日に「Journal of the International Society of Sports Nutrition」でオンライン先行公開されました。ブラジルのサンパウロ州立大学(UNESP)の研究チームが、筋トレを始める18〜59歳の未トレーニングの成人を対象に比べた結果、植物性とホエイの間に、除脂肪量と体脂肪量の変化で有意な差は見られませんでした。ただし、対象となった研究は5件と少なく、結論は慎重に読む必要があります。
5件の研究を、DEXAで比べた分析
論文のタイトルは「Is plant-based protein supplementation as effective as whey protein?」(植物性プロテインの補給は、ホエイプロテインと同程度に有効か)です。要旨によると、レジスタンストレーニングを行う健康な成人で、タンパク質サプリメントは除脂肪量の増加を目的に広く使われています。研究の背景には、ホエイは多く研究されてきた一方で、動物性食品を避ける人にとって、植物性のサプリメントが現実的な選択肢として挙がっている、という事情があります。
方法は次のとおりです。
- 対象:18〜59歳の、トレーニング経験のない成人
- 評価方法:DEXA(二重エネルギーX線吸収測定法)による体組成
- 検索:PRISMA 2020に従い、PubMed、Web of Science、ScienceDirectを検索
- 採用された研究:適格基準を満たした5件
- 登録:PROSPERO(CRD420251145410)
結果は「差が見られなかった」まで
要旨の結果は、レジスタンストレーニングと組み合わせた場合、植物性とホエイのどちらも、除脂肪量(LBM)と体脂肪量(BFM)の改善に関連しており、群間に有意な差はなかった、というものです。要旨とあわせて掲載されている平易な要約によると、この比較は、総タンパク質量とトレーニング条件をそろえた場合のものです。結論として、大豆とエンドウ豆由来のサプリメントは、ホエイ以外を求める人にとって現実的な選択肢になりうる、とされています。
チア由来のタンパク質については、研究が1件のみで、除脂肪量の有意な変化も示されなかったため、有効性について確定的な結論は出せないとしています。
「差がない」を「同じ」と読まないために
この研究の要旨と、あわせて掲載されている平易な要約には、読むときに注意すべき点が書かれています。
- 研究数が限られており、信頼区間が広い。
- タンパク質源による差が見られなかったことは、生理学的な同等性を意味するものではない。
なお、対象は18〜59歳の未トレーニングの成人です。トレーニング経験者や高齢者に当てはまるかどうかは、この分析からは分からない、というのが当サイトの補足です。
PubMedの要旨ページには、参加者数、効果量や信頼区間の具体的な数値、異質性やバイアス評価の値は載っていません。当サイトでも、これらの数値は確認できていないため、記事では触れません。詳しい数字が必要な場合は、論文の全文(DOI: 10.1080/15502783.2026.2752317)を確認してください。
51試験の分析とは、何を測ったかが違う
当サイトでは10月13日に、プロテインの種類で筋タンパク質合成に差があるかを51試験で分析した研究を紹介しました(プロテインの種類で筋合成に差は?51試験の分析)。10月の分析が調べたのは、筋トレや摂取のあとの短時間の反応(筋タンパク質合成)でした。今回の分析で評価したのは、DEXAで測った除脂肪量と体脂肪量で、対象者も未トレーニングの成人に絞られています。指標と対象が違うため、結果を同じ物差しで並べて比べることはできません。
筆者は、2つの研究の違いを「時間の長さ」で見ると整理しやすいと考えます。10月の分析は筋トレ1回のあとの短時間の反応を測ったもので、今回の分析は、トレーニングを経た体組成を測っています。短時間の反応で見える小さな差が、体組成の変化として表れるかどうかは、5件という研究数ではまだ判断できない、というのが現時点での妥当な読み方だと思います。実際の選び方では、種類の違いより、1日の総タンパク質量をそろえて続けられるかを先に考えたほうがよさそうです。
プロテイン選びで確認したいこと
研究の結果だけで、特定の製品や種類を勧めることはできません。商品を選ぶときは、次の点を確認しておくと安心です。
- 原材料(大豆、エンドウ豆など)とアレルギー表示
- 1回分のタンパク質量と、1日の食事全体のタンパク質量
- 持病や服薬、腎臓などの健康上の事情がある場合は、摂取量を医師や管理栄養士に相談する
この記事は、公開された論文の要旨の紹介で、サプリメントの効果を保証するものではありません。
出典
- PubMed「Is plant-based protein supplementation as effective as whey protein? A systematic review and meta-analysis in untrained adults undergoing resistance training」(PMID 42954267、J Int Soc Sports Nutr)
- DOI 10.1080/15502783.2026.2752317(同論文)
2026年10月30日時点の情報です。
本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。