ニュース

ISSNが減量の食事で見解、タンパク質は筋トレ併用で1.6〜2.2g/kg

国際スポーツ栄養学会(ISSN)が減量のための食事のポジションスタンドを公表。極端な制限や断食の位置づけ、タンパク質の目安(1.2〜1.6、1.6〜2.2g/kgなど)を15項目から整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

国際スポーツ栄養学会(ISSN)が、減量のための食事についての公式見解(ポジションスタンド)「International Society of Sports Nutrition position stand: diets for body weight reduction」を公表しました。学会の機関誌『Journal of the International Society of Sports Nutrition』第23巻に、2026年10月13日にオンライン掲載されています(DOI: 10.1080/15502783.2026.2740266、PubMed 42867412)。筋トレをしながら体脂肪を落としたい人にとって、押さえておきたい点が15項目にまとめられています。本記事では、赤字(カロリー不足)を極端にしない、筋トレとタンパク質で筋肉の減りを抑える、食事法の違いより続けやすさを重視する、の3点に整理します。見解は、減量の質を、除脂肪量をできるだけ残すことで捉えています。

対象は、健康で活動的な成人。水抜き・薬・手術は対象外

このポジションスタンドは、一般に健康で、運動習慣のある、あるいはアスリートの成人を主な対象にしています。肥満や過体重の人の臨床研究も、必要に応じて参考にしています。急な脱水による減量(試合前の水抜き)、GLP-1受容体作動薬などの薬物療法、減量手術は扱っていません。編集部の注意として、持病のある人や、治療中の人は、この見解をそのまま当てはめず、主治医や管理栄養士に相談してください。

極端な食事制限は、短期の減りは大きくても、穏やかな制限に勝る長期の利点はない

1日800kcal未満の超低エネルギー食や、800〜1,200kcalの低エネルギー食についてです。短期的には体重の減りが大きいものの、カロリーを管理する穏やかな食事制限に比べて、長期的な利点はないとされています。こうした厳しい食事は、除脂肪量(筋肉など脂肪以外の組織)を失いやすくなるおそれがあります。十分なタンパク質と筋トレで、そのリスクを和らげられる可能性があるとされ、ビタミン、ミネラル、食物繊維など栄養素の不足にも注意が必要だと書かれています。見解の結論では、こうした厳しい食事の用途は、主に高リスク・高ベネフィットの臨床的な介入に限られる、とも述べられています。

断続的断食も、食事回数も、決め手ではない

断続的断食(1日おき、時間制限食、週2回の断食など)と、毎日少しずつ減らす方法とで、体重や体組成の結果に差はないという研究が全体では多いと、見解は述べています。ただし、食事の質(栄養素の中身)は、体組成や代謝の健康に、独立して関わるとされています。1日の食事回数も、体重や体脂肪の減少を大きく左右するわけではなく、回数に万人向けの上限や下限はありません。そのうえで、運動習慣のある人やアスリートが、カロリー不足の状態を続ける場合は、タンパク質を少なくとも3回の食事(または食べる機会)に分けると、筋肉の維持や運動のパフォーマンスに役立つ可能性があると書かれています。

筋トレとタンパク質は、食事法にかかわらず欠かせない

持続的なカロリー不足の中で除脂肪量の減りを抑えるうえで、筋トレと十分なタンパク質の摂取は、食事の種類にかかわらず欠かせない、というものです。1日のタンパク質の総量が最も重要で、1回ごとの分け方は二次的な問題だとされています。タンパク質の目安として、見解は次の3つの範囲を示しています。

  • 一般の人:体重1kgあたり1.2〜1.6g。体重と体脂肪の減少、身体活動、筋骨格系や心血管・代謝の健康の面で適切
  • 筋トレと組み合わせる場合:1.6〜2.2g/kg。筋肉を作る反応(筋同化)を最適化しうるとされ、減量中の除脂肪量の維持にも、この範囲が目安になる(体脂肪が少ない人は、さらに高い範囲が示されている)
  • カロリーを減らしている、体脂肪の少ない筋トレ経験者:1.9〜3.2g/kg。除脂肪量の維持を最大化しうる

体重60kgの人なら、一般の人の範囲で1日72〜96gになります。ただし、これは健康な成人についての目安です。腎臓などに持病がある人の目安ではないので、その場合は医師に相談してください(編集部注)。

糖質と脂質の比率は好みで。ケトジェニックは筋肉が減りやすい面も

減量では、糖質と脂質の割合は個人の好みに合わせてよく、ケトジェニック(糖質をごく少なくする食事)から低脂質食までの範囲で、結果は同程度だと、見解は述べています。ケトジェニックは、体重と体脂肪を減らす効果はある一方、糖質の多い食事と比べて除脂肪量が多く減りやすい傾向があるとされています。特に短い試験では、グリコーゲンや体水分の変化が、推定に影響しうる点にも注意が必要です。

停滞期は、「維持の練習」の機会でもある

体重が落ちると、体はエネルギー消費を減らす方向に適応します。見解は、安静時のエネルギー消費が、体組成の変化から予測される以上に下がる「適応性熱産生」は起こりうるものの、必ず起きるわけではなく、体重が安定すると大きく弱まることがあるとしています。停滞期には多くの対処があるものの、停滞期は、それまでの成果を維持する練習の機会でもある、という見方も示されています。最後の2項目は、専門職のチームの助言と周囲の支えを得ながら進めることが推奨されていること、自炊と事前の食事計画が、減量を成功させるうえで助けになることです。体重が落ちたときの代謝の適応や、腸内細菌の多様性の低下は、食事と運動の計画で和らげられることが多い、という指摘もあります。

筋トレ中の減量で、見直したい4つの点

見解は、減量の質を、体重計の数字ではなく、除脂肪量をどれだけ保てたかで捉えています。断続的断食か毎日の調整か、糖質と脂質のどちらを減らすかといった違いは、全体として結果に大きな差が出にくいとされており、選ぶ基準は好みや続けやすさに置いてよいと読めます。一方で、筋トレと十分なタンパク質は「食事の種類にかかわらず欠かせない」と明記されていて、食事法の議論の陰で見落としやすい共通の土台といえそうです。また、停滞期を失敗ではなく、維持を練習する期間と位置づけている点は、減量を短期の目標で終わらせないための視点として参考になると考えます。次の4点は、見解の内容を筆者が整理したもので、見解が順位を付けているわけではありません。

  • 筋トレを、食事制限の途中でも続ける。
  • タンパク質の1日の総量を決める(筋トレと組み合わせる場合は1.6〜2.2g/kgが目安)。
  • カロリー不足を、極端にしない(超低エネルギー食に頼らない)。
  • 食事法は、続けやすいものを選ぶ(断食か毎日の調整かは、結果に差が出にくい)。

なお、示された数値は健康で活動的な成人を主な対象にした目安で、この見解は学会の立場表明です。個々の人に効果を約束するものでも、医学的な助言でもありません。持病や服薬がある人、妊娠中・授乳中の人、成長期の人は、一般的な目安がそのまま当てはまらない場合があります。具体的な食事は、医師や管理栄養士に相談してください。

出典

2026年10月19日時点の情報です。

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。