【ダイエットの科学②】体重が落ちない停滞期の正体と対処法
ダイエットの停滞期はなぜ起こるのか。消費カロリーの低下・代謝適応・水分変動の3つの正体と、研究をもとにした具体的な対処法を解説します。
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【ダイエットの科学シリーズ 第2回/全6回】
前回:減量のペースは週に何kgが正解?/今回は「体重が落ちない停滞期」の正体と対処法です。
ダイエットを始めて最初の数週間は順調に体重が落ちていたのに、ある日からピタッと止まってしまう…。
食事も運動も変えていないのに、体重計の数字が1〜2週間まったく動かない。これ、本当にモチベーションが下がりますよね (;^ω^)
いわゆる「停滞期」です。今回は、停滞期がなぜ起こるのかを研究をもとに整理し、停滞期を抜け出す為の具体的な対処法をまとめます。
停滞期の正体は大きく3つ
「停滞期」と一言で言っても、その中身はいくつかの要素が重なっています。
- 体重が減った分、消費カロリーも減っている
- 体が省エネモードになる「代謝適応」
- 水分の変動で、脂肪が落ちていても体重に表れない
順番に見ていきましょう。
①体重が減ると、消費カロリーも減る
まず一番シンプルな理由がこれです。
体重が重い人ほど、体を動かすのにも、生きているだけでもエネルギーを使います。つまり、痩せて体重が軽くなれば、1日の消費カロリーも自然と少なくなるんですよね。
例えば、ダイエット開始時に「1日2,200kcal消費・1,800kcal摂取」で400kcalのマイナスだったとします。体重が数kg落ちて消費カロリーが2,000kcalに下がれば、同じ1,800kcalを食べていてもマイナスは200kcalに縮みます。
さらに体重が落ちれば、いずれ「摂取=消費」になって体重が動かなくなる。これが停滞期の一番の正体です。
このサイトの過去記事「減量中にタンパク質量を気にし過ぎるべきでない3つの理由」でも、同じ食事を続けていたらいずれ体重が落ちなくなったという話を書きましたが、まさにこの現象です。
②代謝適応:体が「省エネモード」になる
もう1つ知っておきたいのが「代謝適応(Metabolic Adaptation)」です。
2014年にTrexlerらが国際スポーツ栄養学会誌(JISSN)で発表したレビュー論文では、カロリー制限を続けると、体が次のような変化を起こす事がまとめられています。
- ホルモンの変化(食欲や代謝に関わるホルモンのバランスが変わる)
- 筋肉のエネルギー効率が上がり、同じ動きでも使うエネルギーが減る
- 無意識の活動量(姿勢を保つ、そわそわ動くなど)が減る
つまり体は、エネルギーが足りない状況になると、体重が減った分以上に消費エネルギーを節約しようとするわけです。人類が飢餓を生き延びる為に身につけた仕組みなので、ある意味「体が正常に働いている証拠」でもあります。
特に、減量期間が長い人、体脂肪がかなり少なくなってきた人ほど、この影響を受けやすいと考えられています。
③水分の変動で「見えない」だけの場合も
実は、停滞期と思っていたら脂肪はちゃんと減っていたというケースも多いです。
体重は、体脂肪だけでなく水分・食べ物・便などの影響で、1日に1〜2kg程度は簡単に上下します。
- 塩分の多い食事の翌日は、むくみで体重が増えやすい
- 炭水化物を多めに食べると、筋肉に水分が蓄えられて体重が増える
- 女性は月経周期で水分量が変わりやすい
- 新しくトレーニングを始めると、筋肉の炎症や水分で一時的に体重が増える事がある
こうした変動が脂肪の減少と重なると、数日〜1週間くらい体重が横ばいに見える事は珍しくありません。
停滞期の対処法
対処法1:まずは2週間、平均で判断する
毎日の体重は水分でブレるので、1週間ごとの平均体重で判断しましょう。2週間続けて平均が変わらなければ、本当の停滞と考えて次の手を打ちます。それまでは焦らず、今のやり方を続けるのが正解です。
体組成計で体脂肪率や筋肉量の推移も見ておくと、体重以外の変化に気づけます。過去記事「タニタのスマホ連動体組成計を購入すべき理由」でも紹介していますが、数字の推移をグラフで見られるのは本当に便利です。
対処法2:摂取カロリーを100〜200kcal見直す
体重が減って消費カロリーが下がったなら、摂取カロリーもそれに合わせて少しだけ下げるのが基本です。ご飯を一口減らす、間食を1つやめる程度の小さな調整で十分です。
ただし、シリーズ第1回で紹介したとおり、1日のマイナスが大きすぎると筋肉が落ちやすくなります。一気に大きく減らすのはNGです。
対処法3:活動量(歩数)を増やす
食事を減らすのがつらい時は、日常の活動量を増やすのも有効です。代謝適応で無意識の活動量が減っている事もあるので、意識して歩く量を増やしましょう。歩数については、シリーズ第6回で詳しく扱います。
対処法4:計画的に「維持期間」を入れる
長く減量を続けていてしんどい場合は、一時的に摂取カロリーを維持レベルまで戻す「ダイエットブレイク」という方法もあります。
2018年のByrneらによるMATADOR研究では、肥満の男性を対象に「2週間の減量」と「2週間の維持」を交互に繰り返したグループの方が、連続で減量したグループより体重・脂肪が多く減ったと報告されています。小規模で対象も限られた研究なので、誰にでも当てはまるとは言えませんが、「休むのも戦略の1つ」と考えるヒントにはなります。
ダイエットブレイクやチートデイについては、別の記事で改めて詳しく書く予定です。
やってはいけない対処法
- いきなり食事を半分にする:筋肉が落ち、反動のドカ食いを招きます。
- 筋トレをやめて有酸素運動だけにする:筋肉を守る刺激が無くなります。
- 水分を極端に控える:体重が一時的に減るだけで、脂肪は減りません。
よくある質問
Q. 停滞期はどれくらい続くもの?
A. 水分の変動による見かけの停滞なら、数日〜2週間ほどで再び体重が動き出す事が多いです。それ以上続く場合は、消費カロリーの低下でカロリー収支がゼロに近づいている可能性があるので、本文の対処法を試してみてください。
Q. 体重は落ちないのに見た目は変わってきた気がします
A. 筋トレを続けている人なら、脂肪が減って筋肉が増えている可能性もあります。体重だけでなく、ウエストのサイズや写真でも変化を確認しましょう。
Q. 停滞期に有酸素運動を増やすのはアリ?
A. アリです。ただし、急に増やし過ぎると疲労で筋トレの質が落ちたり、食欲が増したりする事もあるので、まずは歩数を増やすなど軽い方法から始めるのがオススメです。
まとめ
- 停滞期の正体は「消費カロリーの低下」「代謝適応」「水分変動」の3つ
- カロリー制限で体は省エネモードになる(Trexler, 2014)
- まずは週の平均体重で2週間様子を見る
- 本当に停滞したら、摂取を100〜200kcal見直すか、活動量を増やす
- 長期戦なら、計画的な維持期間(ダイエットブレイク)も選択肢(Byrne, 2018)
というわけで、ダイエットの科学シリーズ第2回でした。次回は「減量中のPFCバランス」。筋肉を守る為の食事設計を解説します。
ダイエットの科学シリーズ
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参考文献
- Trexler ET, Smith-Ryan AE, Norton LE. Metabolic adaptation to weight loss: implications for the athlete. J Int Soc Sports Nutr. 2014;11:7.
- Byrne NM, et al. Intermittent energy restriction improves weight loss efficiency in obese men: the MATADOR study. Int J Obes. 2018;42(2):129-138. https://www.nature.com/articles/ijo2017206
本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。