ワイドスクワットとは足幅で変わる効果と正しいやり方

ワイドスクワットは、足幅を肩幅より大きく開いて行うスクワットです。足幅で太もも前・お尻・内ももへの負荷がどう変わるかを生体力学研究で確認し、つま先の向き、深さ、自重とダンベルでのやり方、膝を痛めない注意点を解説します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
この記事の目次
ワイドスクワットとは
ワイドスクワットとは、足幅を肩幅の1.5〜2倍程度に広げ、つま先を外側に向けて行うスクワットです。相撲の四股に似た形から「スモウスクワット」と呼ばれることもあります。一般に、お尻(大臀筋)や内もも(内転筋)を鍛える種目として紹介され、「ワイドスクワット」「スクワット ワイド」はよく検索されるキーワードです。
ただし、「内ももに効く」という説明は、研究を見ると少し注意が必要です。この記事では、足幅による違いをデータで確認し、正しいやり方と目的に合った使い方を整理します。
基本(やり方)
- 足を肩幅の1.5〜2倍程度に開き、つま先を30〜45度ほど外に向ける。
- 背すじを伸ばし、胸を張る。手は胸の前で組むか、ダンベルを1つ両手で持って体の前に下げる。
- 膝をつま先と同じ方向に開きながら、お尻を真下に下ろすようにしゃがむ。
- 太ももが床と平行程度になるまで、または背中が丸まらない範囲までしゃがむ。
- 足裏全体で床を押し、膝を外に開いたまま立ち上がる。
膝とつま先の向きをそろえることが最も重要です。足幅を広げたのに膝が内側に入ると、膝にねじれの負担がかかります。
特徴(足幅で何が変わるか)
お尻・太もも裏の負荷
2022年の研究(2つの実験、70人と20人のリフター、1RMの70%のバックスクワット)では、筋骨格モデルで推定した筋の力を比べ、足幅を狭くすると大腿四頭筋の力が大きくなり(足幅を指定した実験のみ)、広くすると後ろ側の筋群(大臀筋やハムストリングスなど)の力が大きくなる結果でした。1回の測定による推定で、長期の筋肥大を比べたものではありません。著者らは、最適な足幅が一つあるわけではないとしつつ、狭い足幅は大腿四頭筋、広い足幅は後ろ側の筋群の発達を促す可能性があると述べています。
内ももへの負荷
2024年の研究(男性11人、女性13人)は、狭い・中間・広い足幅で股関節にかかるモーメント(筋が出すべき回転力)を比べました。
| 項目 | 足幅を広げたときの変化 |
|---|---|
| 股関節伸展(お尻など) | 広い足幅で大きい |
| 股関節外旋 | 足幅が広いほど大きい |
| 股関節内転(内もも) | 足幅で差がない |
つまり、足幅を広げても、内ももに求められる力そのものは変わらなかったということです。内転筋は股関節を伸ばす働きも持つため、ワイドスクワットで使われないわけではありませんが、「足幅を広げれば内ももに集中して効く」とまでは言えません。
内転筋の発達には、足幅よりもしゃがむ深さが関係する可能性があります。Kuboらの2019年の研究では、フルスクワット群はハーフスクワット群より内転筋の体積が大きく増えました(約6.2%対約2.7%)。
具体例(目的別の足幅とメニュー)
| 目的 | 足幅の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 太もも前を重視 | 腰幅〜肩幅 | 狭い足幅で大腿四頭筋の力が大きい |
| お尻・太もも裏も使いたい | 肩幅の1.5倍程度 | 広い足幅で後ろ側の筋群の力が大きい |
| 内ももも使いたい | 足幅より深さを確保 | 研究では深さで内転筋の増え方が違った |
自宅でのメニュー例
| レベル | 種目 | 回数×セット |
|---|---|---|
| 初心者 | 自重ワイドスクワット | 15〜20回×3 |
| 中級 | ダンベル1つを持つワイドスクワット | 10〜15回×3 |
| 中級以上 | 台を2つ置き、ダンベルを深く下ろすワイドスクワット | 10〜12回×3 |
自重で20回×3セットが楽にできるようになったら、ダンベルを持つ、下ろす速さを3秒に延ばす、などで負荷を上げます。
ワイドスクワットの実践ステップ
- 鏡の前で、足幅とつま先の角度を決める。
- 膝がつま先の方向に向いているか確認しながら、自重で10回行う。
- 背中が丸まらずにしゃがめる深さを確かめる。
- 回数が楽になったら、ダンベルを持って負荷を上げる。
- 通常の足幅のスクワットと交互に行い、脚全体をバランスよく鍛える。
ワイドスクワットの注意点
- 膝が内側に入ると、膝の内側に負担がかかります。膝とつま先の向きをそろえられない足幅は広すぎます。
- 股関節が硬い人は、無理に広げると腰が丸まりやすくなります。足幅は少しずつ広げます。
- 膝・股関節・腰に痛みが出たら中止し、続く場合は医師に相談してください。
- 足元が滑りやすい場所(靴下でのフローリングなど)は避けます。
ワイドスクワットでよくあるミス
| ミス | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 膝が内側に入る | 膝にねじれの負担 | 膝をつま先の方向へ開く |
| つま先を正面に向けたまま広げる | 膝と足の向きがずれる | つま先を30〜45度外へ |
| 上体が前に倒れる | 腰に負担 | 胸を張り、お尻を真下に下ろす |
| 浅すぎる | 刺激が小さい | 背中が丸まらない範囲で深く |
ワイドスクワットのチェックリスト
- 膝とつま先が同じ方向を向いている
- 足幅は膝の向きをそろえられる範囲
- 背中が丸まらない深さまでしゃがんでいる
- 足裏全体で床を押して立ち上がっている
- 通常のスクワットとも組み合わせている
ワイドスクワットのFAQ(よくある質問)
Q. ワイドスクワットは内ももに効きますか。
A. 内転筋も働きますが、研究では足幅を広げても内転に必要な力は変わりませんでした。内ももを鍛えたいなら、深くしゃがむことも意識しましょう。
Q. 普通のスクワットとどちらがよいですか。
A. 狭めの足幅は太もも前、広めの足幅はお尻・太もも裏の負荷が大きい傾向です。目的に合わせて使い分けるか、両方を行います。
Q. 毎日やってもよいですか。
A. 自重で軽く行う程度なら負担は小さいですが、筋肉を大きくする目的なら、回復の日を挟む方が一般的です。
筆者の見解(ワイドスクワット)
ワイドスクワットは、お尻や太もも裏をしっかり使えるうえ、自宅でも取り組みやすい優れた種目だと考えます。一方、「内もも専用の種目」という説明は、研究を見る限り言い過ぎかもしれません。私見では、足幅は膝の向きをそろえられる範囲にとどめ、深さを確保することを優先する方が、脚全体を効率よく鍛えられるはずです。
ワイドスクワットの関連項目
- スクワット
- スクワットの深さ(パラレル・フル)
- ダンベルスクワット
- 脚トレメニュー(下半身の鍛え方)
- 自重トレのメニュー
出典(一次情報)
- Greater squat stance width alters three-dimensional hip moment demands(J Biomech, 2024)
- A Multi-Experiment Investigation of the Effects Stance Width on the Biomechanics of the Barbell Squat(Sports, 2022)
- Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes(Eur J Appl Physiol, 2019)

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。