フロントスクワットとはバックスクワットとの違いとやり方

フロントスクワットは、バーベルを肩の前に乗せて行うスクワットです。バックスクワットとの筋活動・膝への負担の違いを研究で比較し、バーの持ち方(クリーングリップ・クロスアーム)、重量の目安、手首が痛いときの対処を解説します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
この記事の目次
フロントスクワットとは
フロントスクワットとは、バーベルを首の前、鎖骨と肩の前側(三角筋前部)の上に乗せて行うスクワットです。バーを背中側(僧帽筋の上)に担ぐ一般的なスクワットは「バックスクワット」と呼ばれます。バーが体の前にあるため、上体を起こしたまましゃがむ必要があり、太もも前側(大腿四頭筋)と体幹を強く使う種目として知られています。
「フロントスクワット」は検索の多いキーワードで、バックスクワットと何が違うのか、手首が痛くてうまく持てないといった疑問がよく見られます。この記事では、研究結果をもとに違いを整理し、やり方と持ち方を紹介します。
基本(やり方と持ち方)
バーの持ち方
| 持ち方 | 方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| クリーングリップ | 肩幅程度でバーを握り、肘を前に高く上げて、指先でバーを支える | 安定しやすいが、手首・肩の柔軟性が必要 |
| クロスアーム | 腕を胸の前で交差させ、手でバーを押さえる | 手首の柔軟性が低くてもできるが、左右に傾きやすい |
| ストラップ使用 | バーにストラップを巻き、それを握る | クリーングリップの代わりとして使われる |
どの持ち方でも、バーは手ではなく肩の前側に乗せるのが基本です。手はバーがずれないよう支える役割です。
やり方
- ラックのバーを鎖骨の高さに合わせ、肩の前側にバーを乗せる。
- 肘を前に高く上げ、上腕が床とほぼ平行になるようにする。
- ラックから外し、足を肩幅程度に開く。
- 息を吸って腹圧を高め、上体を起こしたまましゃがむ。
- 肘を高く保ったまま、足裏全体で床を押して立ち上がる。
しゃがんだときに肘が下がると、上体が前に倒れてバーが前に転がり落ちやすくなります。「肘を上げ続ける」ことが最大のポイントです。
特徴(バックスクワットとの違い)
Gullettらの2009年の研究(トレーニング経験のある15人)は、フロントスクワットとバックスクワットの膝の負担と筋活動を比べました。バックスクワットの方が膝の圧縮力と膝伸展モーメントが有意に大きく、筋活動はバーの位置で差がありませんでした。著者らは、フロントスクワットは全体の筋の動員ではバックスクワットと同等に効果的で、半月板損傷など膝に問題がある人や長期的な関節の健康に有利な可能性があるとしています。
2020年の研究(大学の競技者11人)では、同じ重さ(フロントスクワット1RMの40〜80%)で比べると、バックスクワットは股関節伸展、フロントスクワットは膝伸展の負荷が大きくなる傾向でした。ただし、それぞれの1RMに対する同じ割合で比べると、膝伸展の負荷は同程度と予測されています。
| 比較 | フロントスクワット | バックスクワット |
|---|---|---|
| 扱える重量 | 軽くなるのが普通 | 重い |
| 上体の角度 | 起きる | 前傾しやすい |
| 膝の圧縮力(研究) | 小さい | 大きい |
| 主に負荷がかかる関節(同じ重さの場合) | 膝伸展寄り | 股関節伸展寄り |
| 必要な柔軟性 | 手首・肩・足首 | 肩・足首 |
フロントスクワットとオーバーヘッドスクワットを比べた2020年の研究(男性7人)では、フロントスクワットで三角筋前部の活動が高く、脊柱起立筋の活動はバックエクステンションより高い結果でした。体幹や肩まわりも使う種目といえます。
具体例(重量の目安とメニュー)
フロントスクワットは、バックスクワットより軽い重量になるのが普通です。最初は、バックスクワットで10回できる重量の6〜7割程度から試し、回数とフォームを確認します。
| バックスクワット10回の重量 | フロントスクワットの試し始め |
|---|---|
| 60kg | 35〜40kg |
| 80kg | 50〜55kg |
| 100kg | 60〜70kg |
この割合は試し始めの目安で、研究で定められた換算値ではありません。
脚トレでの置き方の例
| パターン | 1種目目 | 2種目目 |
|---|---|---|
| 太もも前を重視 | フロントスクワット 6〜8回×3 | レッグプレス 10〜12回×3 |
| バックスクワットと併用 | バックスクワット 5〜8回×3 | フロントスクワット 8回×2(軽め) |
フロントスクワットの実践ステップ
- 空のバーで、肩の前に乗せて肘を上げる練習をする。
- 手首が痛ければ、クロスアームかストラップ使用に切り替える。
- 自重やゴブレットスクワットで、上体を起こしたまましゃがむ感覚をつかむ。
- バックスクワットの6〜7割の重さから始め、6〜10回でフォームを確認する。
- セーフティバーをしゃがむ位置より少し下にセットして行う。
フロントスクワットの注意点
- バーが首を圧迫しないよう、鎖骨と肩の前側の「くぼみ」に乗せます。息苦しいときは位置を見直します。
- 潰れたときは、バーを前に落として体を後ろに逃がすのが一般的です。必ずセーフティバーを使い、周囲の安全を確認します。
- 手首・肩・肘に痛みが出たら中止し、続く場合は医師に相談してください。
- 膝に問題がある人は、研究で膝の圧縮力が小さいとされていても、自己判断せず医師に相談してください。
フロントスクワットでよくあるミス
| ミス | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 肘が下がる | 上体が倒れ、バーが落ちる | 肘を高く保つ |
| 手でバーを握り込む | 手首に負担 | 肩に乗せ、指で支える |
| 重量をバックと同じにする | フォームが崩れる | 6〜7割から始める |
| 踵が浮く | 前に倒れる | 足首の柔軟性、踵の上がる靴 |
フロントスクワットのチェックリスト
- バーが肩の前側に乗り、首を圧迫していない
- しゃがんでも肘が下がらない
- 上体を起こしたまましゃがめる
- セーフティバーをセットしている
- 手首に痛みがあれば持ち方を変えている
フロントスクワットのFAQ(よくある質問)
Q. フロントスクワットとバックスクワット、どちらがよいですか。
A. 研究では全体の筋の動員は同程度で、フロントは膝の圧縮力が小さい結果でした。重い重量で脚全体を鍛えるならバック、上体を起こした姿勢や膝の負担を重視するならフロントと、目的で選びます。
Q. 手首が痛くてクリーングリップができません。
A. クロスアームやストラップを使う方法があります。手首・肩の柔軟性を高めながら徐々に試してください。
Q. フロントスクワットで太もも前が太くなりますか。
A. 同じ重さでは膝伸展の負荷が大きくなる傾向がありますが、各自の1RMに対する同じ割合で比べると同程度と予測されています。
筆者の見解(フロントスクワット)
フロントスクワットは、扱える重量こそ軽くなりますが、上体を起こした正しいしゃがみ方を身につけるのに役立つ種目だと考えます。私見では、腰が前に倒れやすい人や、膝の負担を抑えたい人にとって、バックスクワットの代わりや補助として試す価値があります。手首の問題は持ち方の工夫で解決できることが多いので、最初の違和感であきらめる必要はありません。
フロントスクワットの関連項目
出典(一次情報)
- A biomechanical comparison of back and front squats in healthy trained individuals(J Strength Cond Res, 2009)
- Load-dependent mechanical demands of the lower extremity during the back and front squat(J Sports Sci, 2020)
- A Comparison of Muscle Activation Among the Front Squat, Overhead Squat, Back Extension and Plank(Int J Exerc Sci, 2020)

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。