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栄養機能食品の基準を改正、亜鉛・銅などの上限・下限が変更

消費者庁が食品表示基準を改正し、栄養機能食品の成分ごとの下限値・上限値などが変わりました。主な数値の変更、経過措置の期限、サプリを選ぶときの確認点を整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

消費者庁は2026年10月1日、ビタミンやミネラルのサプリメントなどに使われる「栄養機能食品」の基準を含む、食品表示基準の一部改正(内閣府令第89号)を公布しました。改正後の基準を使った表示は、公布の日から可能で、従来の基準による表示は、2030年3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品(業務用を除く)などについて、引き続き認められます。筋トレやダイエットでサプリメントを使う人が、パッケージの表示が今後どう変わるのか、何に気をつけて選べばよいのかを整理します。この記事は制度の紹介で、特定の製品や摂取量の推奨ではありません。

ニュースの概要

消費者庁の「食品表示基準のこれまでの改正」のページに、令和8年10月1日の内閣府令第89号の新旧対照条文が公開されています。内閣総理大臣名で定められた府令で、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の一部を改正するものです。同日には、この改正案への意見募集の結果も公表されました。意見募集は令和8年7月1日から30日まで行われ、17件の意見(内容を分けると24項目)が寄せられたと発表されています。

新旧対照条文を読むと、改正は主に2か所です。1つは、別表第四のドレッシングの名称の表示に関する表記の整理です。もう1つが、栄養機能食品の対象になる栄養成分ごとの下限値・上限値、機能の表示、摂取上の注意事項を定める別表第十一の改正です。ここでは、サプリメントに関わる後者を見ます。

何が変わるのか:栄養機能食品の基準

栄養機能食品は、国が定めた基準(成分ごとの1日あたりの摂取目安量の下限値・上限値)に合っていれば、決められた文言で栄養成分の機能を表示できる制度で、企業が消費者庁に届け出る「機能性表示食品」とは別のものです。新旧対照条文から読み取れる、主な数値の変更は次のとおりです。

栄養機能食品の1日あたりの摂取目安量(新旧対照条文から読み取った主な変更)
栄養成分 項目 改正前 改正後
亜鉛 下限値 2.64mg 2.55mg
亜鉛 上限値 15mg 17mg
カルシウム 下限値 204mg 210mg
鉄 下限値 2.04mg 1.95mg
銅 下限値 0.27mg 0.24mg
銅 上限値 6.0mg 4.6mg
マグネシウム 上限値 300mg 320mg
パントテン酸 下限値 1.44mg 1.65mg
ビタミンB1 下限値 0.36mg 0.30mg
ビタミンB12 下限値 0.72μg 1.20μg
ビタミンD 下限値 1.65μg 2.70μg
ビタミンE 下限値 1.89mg 1.95mg

上の表は、PDFの新旧対照条文から読み取った抜粋で、すべての成分を網羅していません。また、成分によっては、機能を表す文言や、摂取上の注意事項の文言も改められています。たとえば亜鉛の「味覚を正常に保つ」は「必要な栄養素」から「助ける栄養素」になり、改正前にあった「たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ」の文は改正後にはありません。マグネシウムの注意事項も、「多量に摂取すると」が「マグネシウムを多量に摂取すると」に改められています。正確な内容は、消費者庁が公開している新旧対照条文で確認してください。

いつから使われるのか

府令の附則によると、施行日は公布の日(令和8年10月1日)です。経過措置として、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品(業務用を除く)と、同日までに販売される生鮮食品(業務用を除く)の表示は、改正後の別表第十一にかかわらず、従来の例によることができるとされています。つまり、しばらくは、改正前の基準で表示された製品と、改正後の基準で表示された製品が店頭で混在します。

読者への影響

サプリメントを選ぶ人にとっては、次の点が関係します。

  • 同じ成分でも、製品によって、表示されている機能の文言や、1日の摂取目安量の幅が、改正前と改正後で異なる可能性がある。
  • 上限値が上がった成分(例:亜鉛、マグネシウム)でも、「たくさん摂るほどよい」という意味ではない。基準の上限は、栄養機能食品として表示できる範囲を示すもので、個人に合う量を示すものではない。
  • パッケージの注意事項には、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません」「一日の摂取目安量を守ってください」といった文言が引き続き入る。

複数のサプリメントや、プロテインと一緒に飲む場合は、ビタミン・ミネラルの合計量が、食事を含めて過剰にならないかを確認する必要があります。食事からの摂取量の基準は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で定められています。

確認すること

  1. 手元のサプリメントの表示(栄養成分の機能、1日の摂取目安量、注意事項)を確認する。経過措置の期間中は、製造時期だけでは旧基準か新基準かを判断できない。
  2. 複数の製品を併用している場合は、同じ成分(亜鉛、マグネシウム、ビタミンDなど)の合計量を、1日の摂取目安量とあわせて確認する。
  3. 栄養機能食品と機能性表示食品は別の制度であることを知っておく。機能性表示食品の届出情報は、消費者庁のサイトで調べられる。
  4. 持病がある、薬を飲んでいる、妊娠中などの場合は、サプリメントを使う前に医師や薬剤師に相談する。
  5. 過剰摂取が心配なときは、製品の注意事項に従い、1日の摂取目安量を超えない。体調に変化があれば、使用を中止して医療機関に相談する。

筋トレの習慣やサプリメントの考え方は、サプリとアンチ・ドーピングとはも参考にしてください。

筆者の見解

私見では、今回の改正で一番見落としやすいのは、上限値が上がった亜鉛やマグネシウムではなく、上限値が6.0mgから4.6mgへ下がった銅だと考えます。銅を含むマルチミネラルを選ぶときは、1日の摂取目安量あたりの銅の量が、新しい上限の範囲にあるかを見ておくと安心です。また、下限値は成分によって上がったり下がったりしているので、「基準が厳しくなった」「緩くなった」と一言ではまとめられない改正だと考えます。経過措置は2030年3月末までと長く、その間は同じ成分でも旧基準と新基準の表示の製品が並びます。私見では、店頭で比べるときは、機能の文言の違いよりも、栄養成分表示の数値と1日の摂取目安量を比べるほうが、判断を誤りにくいと考えます。

出典(一次情報)

2026年10月9日時点の情報です。

本記事はトレーニング・栄養に関する一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導の代わりにはなりません。ケガや持病のある方、服薬中の方は、トレーニングや食事を変える前に医師にご相談ください。痛みや違和感があるときは中止してください。また、ドーピング禁止規定に反する物質・方法の使用を勧めるものではありません。